藤沢北ロータリークラブ(石川麻央会長)ではこのほど、市内の宿泊施設に聴覚障害者用の災害時緊急信号送受信機の貸し出しを始めた。これに先立ち2月22日、湘南クリスタルホテルで避難訓練を実施し、安全に誘導するための初動を確認した。
日本には聴覚障害者が約36万人いるとされている。しかし、見た目では障害の有無を判断しづらいことから理解が広まらず、「他の障害に比べて施策が後回しになっていると聞いた」と石川会長は話す。
神奈川県聴覚障害者センターの河原雅浩さんは「手話が通じないと、誰かに『助けてください』とさえ伝えることができない」と現状を説明する。電車が止まったときは文字情報で確認できるまで、思わぬ方向に行ってしまうときもあるという。またホテルでは「ドアを閉めたら密室で電話もノックも聞こえない。いつも不安になる」と訴えた。
訓練では、聴覚障害者2人とヘッドホンを付けて耳が聞こえない状態になった参加者がホテルの一室に集まった。部屋には光受信機を設置し、腕には振動で知らせる腕時計型の受信機を装着した。災害が発生すると、従業員が送信機を使い連絡。部屋では光が点灯し、腕時計型には振動と「けいほう」という文字が現れた。すぐさま廊下に出ると、駆け付けた従業員とともに階段を使い避難した。
聴覚障害の男性は、「災害時は廊下で待っているようにホテルから言われたので、落ち着いて行動できた。チェックインのときに説明してくれると安心する」と話した。またヘッドホンをつけ参加した大塚和光さんは、「こんなに周りの音が聞こえないとは。光でようやく分かった」と話した。
同クラブで、機器を2セット用意。市内の宿泊施設から要望があったときに貸し出すという。
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