小学生から高校生までの肢体不自由の子を対象にした放課後等デイサービス「遊びリパークリノア」。障害のある子を持つ保護者から「子どもたちの遊び場がない」という声を受け、2015年に、かつてスーパーマーケットとして利用されていた場所を改装し開所した。障害の有無に関わらず、皆が一緒に遊び、互いにふれあう「居場所」は共生社会のあり方を私たちに問い掛けている。
辻堂団地の一角、広さ約200平方メートルのガラス張りの建物に入ると、大きなトランポリン、色とりどりのブロックなど遊具やおもちゃがずらり。子どもたちが自由に走り回り、笑い声が響き渡る。
同施設によると、利用者は藤沢や茅ヶ崎、横浜市などから、常時25人前後が通っており、そのうち約20人が身体や知的などの障害を抱えている。
施設最大の特徴は、健常者が利用者の中でマイノリティーである点だ。健常者の子からすれば障害があることに特別感はなく、だから当たり前のように一緒に過ごす。
「ここに通う子どもたちに『障害』という概念はありません」。同所を運営するNPO法人ラウレアの理事長・横川敬久さん(43)はそう言い切る。「『障害のある○○くん』ではなく、『車椅子に乗っている○○くん』。障害という概念が前提にあるかどうかで向き合い方も変わる」
車いすに乗っている子と一緒にどう遊んだらもっと楽しいか、子ども自身が考えて工夫する。その日常があるから、相手のことを自然と考えるようにもなる。施設で遊ぶ横川さんの小学4年生の娘・楓(ふう)さんはある日こう話したという。「友達の助けになる資格を取りたい」。日頃から関わり合い、理解し合える基礎があるからこそ自然と生まれた発想だった。
線引きがない環境は、双方に刺激を生む。足に障害がある小寺遥斗さん(17)は、通い始めてから年下の子と遊ぶ機会が増えた。「これまで周りから気を使ってもらう立場だったが、自分が周りのことを考えるようになった」と笑顔で話す。
横川さんは、障害児を取り巻く環境にこそ両者を隔てる要因があると感じている。例えば特別支援学級や養護学校は、子どもを支援する役割の一方、健常者とは居場所が分かれがちになる。それは同時に双方が関わり合う機会が失われることも意味する。「入り口は自分のためでもいい。気が付いたら自然と築けている。それが共生社会本来の姿ではないか」(了)
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