藤沢市土地開発公社が2009年に市の依頼で善行地区の農地を本来の価格より高額で先行取得していた問題を巡り、市は1日の市議会常任委員会で公社が前土地所有者に購入額と同額の1億850万円で売却し「原状回復」が完了したと報告した。市議会史上初の調査特別委員会(百条委)設置まで発展した問題は約12年かけ最終的に解決したことになる。
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この問題は、元々3000万円で個人が購入した善行6丁目の農地1770平方メートルを公社が市の依頼に基づき、1億850万円で取得。しかし取得の経緯や必要性について市議会から疑義が出され、11年6月に百条委を設置。その後「土地取得は不当」と結論付け、12年7月には横浜地裁が買い取りの差し止めを命じる判決を下していた。
これを受け、公社と前土地所有者は13年3月に売買契約を解除し、土地と代金1億850万円をそれぞれ元に戻す確認書を締結。当初は17年3月までに原状回復させる予定だったが、前土地所有者が資金調達に時間を要したことから期限が延長されていた。
市の報告によると、今年8月に前土地所有者から確認書の履行について協議の申し出があり、11月6日に原状回復に向けた最終的な合意書を締結。同26日に土地代金が支払われ、所有権移転登記を行ったという。
12年2月の市長選では取得の正当性を訴えた当時現職の海老根靖典氏に対して、問題点を指摘した鈴木恒夫市長が当選。現市政が誕生する契機の一つになった。
鈴木市長は本紙の取材に「(原状回復は)土地所有者を含め市議会など関係者が、藤沢に対する愛着をもって円満解決に向けて取り組んできた結果」とし、「今回の件を教訓として、信頼される市役所となるべくまい進する」とコメントした。
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