当時の暮らしを語ってくれる道具の力を借り、先祖が築いてきた文化を未来に――。
打戻の宇都母知(うつもち)神社に1月31日、郷土資料館がリニューアルオープンした。「地域の文化を後世に伝えたい」と、名誉宮司の泊瀬川(はせがわ)亨さんを発起人に、同神社と地域住民らからなる建設委員会が10年以上にわたり取り組んできた。2015年に農機具資料館が完成していたが、資料を種類ごとに整理し直すなど、より郷土文化が分かるような展示に変更したという。
館内には、石臼やのこぎりなど生活用品や脱穀機、くわ、養蚕用の糸車といった農具など、御所見地区などで保存されていた江戸から昭和の道具約100点が常設展示されている。
囲炉裏やたんすなどの調度品を集め、明治から昭和期の部屋を再現したブースも新設した。婚式用の重箱などもあり、当時の暮らしを伺い知れる。アニメ『鬼滅の刃』の流行もあり、同館建設委員の長田純一さんは「背負いかごや蓑などを喜ぶ子どもたちも多い」と話す。
時代の変遷克明に
天照大御神など養蚕・穀物にまつわる祭神を祭る同神社。地域では古くから農業や養蚕業が盛んだった。戦後、国の食料生産強化などの影響で養蚕業が衰退。農業も機械化が進み、近年は古農具の多くが倉庫で忘れ去られつつあった。同館には展示品のほか300点以上の資料が保管されており、今後も調査を続けていくという。
宮司の泊瀬川哲(さとし)さんは「すでに自分たちの世代でも使い方が分からない道具が多数あった。忘れられ、なかったことにはしたくない」と話し、権禰宜の御厨(みくりや)浩和さんは「地域文化に関心を深めるきっかけになれば」と呼びかける。
開館は午前9時から午後4時で水曜休館。入館料は大人300円、小学生まで100円。事前に連絡の上入館する。問い合わせは【電話】0466・48・9633へ。
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