「江の島灯籠」(8月7日以降感染拡大防止のため中止)で「光の絵巻」を手掛けた 長谷川 喜美さん 亀井野出身
五感に訴えるデザインを
○…大小1千基の灯籠で江の島をライトアップする夏の風物詩「江の島灯籠」。初の試みとして、江島神社瑞心門に空間全体を作品として体験させる「インスタレーション」を施した。「光の絵巻」の名にふさわしく、映し出されるのは色とりどりの光で演出した五頭龍と天女。江の島誕生の伝承「江島縁起」から着想を得て、5つのシーンを表現した。空間デザイナーとしての信念「多くの人への伝わりやすさと、五感に訴えるストーリー」を貫いた。
○…デザイン会社「ベルベッタ・デザイン」(東京都杉並区)代表。2004年に設立し善光寺や札幌、丸の内など全国の有名観光地のイルミネーションを手掛けている。数年前、新江ノ島水族館のプロモーションに携わったことを機に「地元の魅力を再発見してもらいたい」と藤沢での仕事の縁ができたという。
○…小学4年から高校卒業まで湘南学園で過ごし、「海岸が遊び場。花火を見たり、サンドアートも作った」と笑顔。本で見たガウディの建築に「建物は四角いビルだけではない」と衝撃を受け、高校卒業後、名門専門学校桑沢デザイン研究所へ。切磋琢磨する環境に身を置き、「友人皆がライバル。課題発表の場が厳しくプロの意識を叩き込まれた。就職してからの方が楽だと思えるほどで」と振り返る。
○…「ホテルのデザインを見るのが好き」と、夫や小5の息子と近隣などで宿泊する時間を大切にする。「皆が惹かれるものは何か」「大勢に分かりやすいものは」と考え続けている。「光の絵巻」に描かれた五頭龍は天女に諭され心を入れ替え厄災や困難から村人を守ったといわれる。「困難と厄災が今の私たちを取り巻く状況に重なるからこそテーマにした」。秘めた思いも語った。
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