閑静な住宅街の土の中に眠る、約4千年前の痕跡――。善行1丁目でこのほど、縄文時代の集落が見つかった。市立保育園の建設に伴い始まった発掘調査は順調に進み、18日現在6軒の住居と横幅60センチの整理箱約30箱分の土器が出土した。
今回発見されたのは縄文時代後期の土器や石器。縄文土器はその名の通り縄で模様をつけたものを思い浮かべがちだが、ここでは木や竹で模様をつけたものが多い。長い年月をかけて土に圧迫されながら残った破片は、手に持つとざらざらしており、少し重い。「時代が下ると技術が発達し、土器は徐々に薄くなる。これでも軽くなった方」と市郷土歴史課の学芸員(考古学)の宇都洋平さんは解説する。
住居の跡は、炉の痕跡と見られる赤みがかった一点を中心に十数本の柱が囲み、直径2メートルほどの円を作っている。当時の成人男性の身長は150センチほどで、家族数人が収容できたとされる。同じく出土した玄関の敷石は、市内では半世紀ぶりの発見だ。
この地域は県が定めた「周知の埋蔵文化財包蔵地」とされ、これまでも文化財保護法に基づき、1990年代に第1次、2008年に第2次調査を行ってきた。
「縄文人からすれば、この地域は住むのに絶好の場所」と宇都さん。当時は藤沢本町の南部まであった海岸にも近く、北は野山に囲まれ、狩猟には最適だった。土器で調理法を再現すると「かなり不味い」とのこと。歴史の奥深さに圧倒される記者。現場をさらに進み、そこで目にしたものとは――。
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