藤沢 文化
公開日:2025.07.25
商店街が大好きだ
昭和レトロな雰囲気、これからも
391ビル商店会 山田秀幸さん
藤沢駅南口に立地するフジサワ名店ビル、ダイヤモンドビル、ザ・プライム(CDビル)の複雑な構造が生むカオス――。駅直結のため雨でも傘なしで足を運べる気軽さがあり、大切な人と待ち合わせをした人も多いだろう。
半世紀以上もの間、市民らに親しまれてきたここを舞台に活動するのが、391ビル商店会だ。391街区という地番から名が付き、テナント店でつくる会員数は現在65。今年11月に還暦を迎える名店ビルの社長、山田秀幸さん(62)が現会長を務める。
商店会では、中庭にあるハゼの木広場で毎月最終日曜の午後3時から藤沢ゆかりのアーティストを招き、ライブを開催。また秋には、駅南北の施設とコラボしたガラポン大抽選会なども行っている。「かつては屋上遊園地やビアガーデンもあったんですよ」。薄皮を剥がすように、山田さんは記憶をよみがえらせる。
たくさんの人にとって馴染み深い商業ビルだが、老朽化が進行。3棟を一体化する再開発に伴い、2027年度に営業終了予定で、新たなビルの完成は31年ごろを見込む。
地下の市場では威勢の良い声が飛び交う。「元気かよ」。店主が常連客を気遣う。いつも温かな交流がある。建物も人もタイムカプセルのような役割を果たし、初めて来た人でもどこか懐かしさを感じさせる。思い出の地がなくなることに、SNSなどでは「少し寂しい」との反応も。
「湘南の玄関口」の刷新は、まちの魅力向上のためでもある。「商店会は一度解散になる。でも雰囲気は残したい」
店主たちが蒔いた義理人情の種は時代の空気を吸収しながら、買い物客に笑顔の花を咲かせてきた。そしてその根は今も、新しい芽生えの時を待っているのかもしれない。
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