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公開日:2026.01.01

湘南の中核からモデル都市へ
鈴木市長、2026年を語る

  • 本紙のインタビューに応じる鈴木市長

  • 今年3月に休館する藤沢市民会館の壁面(業務用駐車場脇)に描かれたアート作品(丸倫徳さん作)

  • 「動き出したさまざまな事業が立派に成功するよう耕していきたい」と今年の漢字「耕」を発表した鈴木市長

 2026年の幕開けにあたり、本紙は鈴木恒夫藤沢市長にインタビューを行った。物価高が市民生活を直撃し、人手不足が経営に影響を与えるなど、厳しい社会環境だった昨年の市政運営を振り返るとともに、今年の展望や施策などについて語った。

(聞き手/藤沢編集室編集長・磯谷拓)

 ――藤沢市制85年の節目の昨年を振り返り、手応えを感じた点はありましたか。

 「昨年、新たな市政の羅針盤である『藤沢市市政運営の総合指針2028』を施行しました。目指す都市像として、『郷土愛あふれる藤沢〜松風に人の和うるわし 湘南の元気都市』を継続して掲げ、サステナブル藤沢・インクルーシブ藤沢・スマート藤沢、の3つのコンセプトの下、20年先を見据えたまちづくりの取り組みをスタートさせました。長年の課題であった片瀬海岸の津波避難タワーが完成し、村岡市民センターも供用開始となり着実に前へ進められた年でした」

 ――長引く物価高騰が市民生活に影響を与えています。市内の状況を踏まえ、どのような経済対策に取り組みますか。

 「物価高騰や円安などの影響を受け、前年度よりも法人税を中心に税収減となり、市内の景況感はやや弱含みだと感じます。特に中小企業や農業従事者は、仕入れコストや燃油価格の上昇、肥料・飼料価格が高騰し経営を圧迫しており、離農を防ぐためにも引き続き飼料購入など対象経費の支援を行います。また、中小企業の人手不足も深刻です。生産年齢人口が減少する中、藤沢商工会議所などの関係団体と連携し、人材確保につながるセミナーや健康経営の推進、生産性向上や省人化策も含め、総合的な支援を進めていきます」

 ――多くの観光地を擁し、国内外から訪れる人が増えています。観光産業の現状と今後の施策について教えてください。

 「インバウンドもあり観光面は順調で、24年の観光客数は過去最高の2040万人となりました。江の島岩屋では入洞者数が累計900万人を突破し、湘南の宝石が日本三大イルミネーションに選出され、藤沢発祥のぶどう『藤稔』がかながわブランドに選ばれたことも大きな話題となりました。遊行寺の大イチョウの見頃にあわせライトアップした『遊行の光』、小出川彼岸花まつり、うつもちの里収穫祭もにぎわいをみせ、ハグライドパークも好調です。それぞれの魅力をつなぎあわせて、『選ばれ続ける観光都市ふじさわ』を発信していきたいと思います」

 ――まちづくりの主な事業として、藤沢駅周辺を含む再整備、市民会館の休館、「村岡新駅」の開業などが挙げられますが、今後の見通しは。

 「藤沢市の玄関口でもある藤沢駅周辺地区では、南北自由通路の拡幅と小田急藤沢駅改札の橋上化に向けた整備を進めています。26年1月末に橋上駅舎の一部使用を開始し、新たに2階部分の改札も利用できるようになります。村岡新駅(仮称)の開業は32年頃を予定し、駅周辺を研究開発拠点として位置付けています。市民会館は、再整備に向けて管理運営と設計にかかわる事業者と昨年契約を締結し、計画策定業務に着手しました。

思い出を未来へ、笑顔あふれる「終の棲家」市民会館再整備や健康寿命日本一の実現

 現在の市民会館は今年3月末で休館します。私自身も結婚式を挙げた思い出の場所ですが、図書館などの施設も併設し、市民が憩える場所となるよう期待しています。湘南台はアートスクエアが健康と文化の拠点として、音楽や芸術で活気づき、まちづくりにも寄与しています。より多くの市民に足を運んでもらいたいです」

 ――スポーツ都市宣言から4年が経ち、スポーツを基軸にしたまちづくりも進めています。

 「藤沢市は過去2度の五輪で、セーリング(ヨット)の会場となり、サーフィンやライフセービング発祥の地としてマリンスポーツが盛んですが、さらに最近はアーバンスポーツの大会も増えています。昨年は日本初開催の『東京2025デフリンピック』でも、善行のアサンテスポーツパーク(県立スポーツセンター)がポルトガル選手団の事前キャンプ地として注目を集めました。加えて、日大藤沢高校のサッカー部が全国への切符をつかみ、日本大学馬術部も全日本学生馬術大会で15連覇を果たしました。神奈川フューチャードリームスも地区優勝し、バスケットボールの湘南ユナイテッドBCも地域を盛り上げてくれています。スポーツを楽しむ市民であふれ、生涯にわたって健康で豊かなスポーツライフが実現できるよう願っています」

 ――市民の健康促進に向け、ウェルビーイングの実現を掲げています。

 「心身ともに幸せに生きるウェルビーイングという考え方の下、藤沢市は健康寿命日本一をめざしています。生活習慣を見直すための健診、健康寿命延伸に向けた事業など、市民・団体・事業者とも連携し取り組み、市民の意識を高め、行動につなげてもらえるよう働きかけていきます」

 ――市のDX化も進展していますが、今後の見通しはいかがですか。

 「昨年は公式ウェブサイトのリニューアル、公共施設予約システムの改修、市内のイベントを検索・申込みできる新サービスの導入などを進めました。高齢者を対象としたスマホの基本操作相談会も実施していますが、デジタルデバイド対策は課題の一つです。また、今年4月からは登下校時の児童見守りサービスを開始します。見守る側の高齢化対策にもなる事業で、個人情報を管理し万全に取り組みます」

 ――将来的な人口構造の変化に対する課題や対策はありますか。

 「少子高齢化や国際化が進み、人口の自然減が避けられない中、若い人に選ばれ、Uターンなどで終の棲家の地としてもらえるよう、藤沢らしい特徴やまちの魅力を示すことが重要です。エンタメ、自然、食べ物、海、文化、などを知ってもらい、定住につなげたい。子どもたちが笑顔でいることもまちの活気につながります。少年の森再整備を含め、安全・安心な空間を生む居場所づくりも進めます。また、多死社会を迎えた中で、最期をどのように迎えるかに寄り添う終活支援事業も検討していきます」

 ――最後に市民にメッセージをお願いします。

 「藤沢市の財政は健全で、地方交付税の不交付団体ではありますが、その分厳しい状況もあり、国に制度そのものについて問いかけていきたいと考えています。少子超高齢化や担い手不足、デジタル化への対応、今後の都市基盤や公共施設の再整備による財政負担の増大も差し迫り、課題は山積していますが、市民の皆さまの声を聞き、誰一人取り残さない、藤沢を愛してもらえる、安全・安心なまちづくりに引き続き取り組みます」

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