藤沢 社会
公開日:2026.09.25
「子思う親心、利用された」 詐欺被害者が手口語る
全国で後を絶たない特殊詐欺の被害。今年の市内被害額は7月末時点で約6億4300万円(暫定値)に上り、昨年同時点より2億円以上増加している。気を付けているつもりでも、犯人は言葉巧みに被害者の心情を操る。気づかぬうちに手中にはまって金銭をだまし取られ、「まさか自分が」と悔やむ被害者も少なくない。実際に被害に遭った市内の80代男性が、当時の状況や犯人の手口を語った。
事件が発生したのは今年2月。午前9時ごろ、被害男性宅の固定電話が鳴った。受話器を取ると、「俺だよ」と名乗る犯人の男。その声は被害男性の息子の声によく似ていた。被害男性は最初の電話の時点では「全く詐欺だとは思わなかった」と振り返る。
100万円を要求
犯人の男に「昨晩飲み過ぎて体調を崩し、仕事で支払う100万円が入っていたかばんを電車に忘れてしまった。どうにかならないか」と持ちかけられた。被害男性は「金銭上のトラブルが息子の出世の妨げになってはいけない」と焦ってしまったという。
すぐに近所の銀行へ向かったが、1つの口座からの引き出し金額に上限が設けられていたため、別の口座からそれぞれ30万円ずつ計90万円を払い戻し、自宅にあった現金と合わせて100万円を用意した。「今思えば、普通ならおかしいと気づくはず。すぐ本人に電話して確認しておけば」と振り返る。
その後、犯人の男から再び「お金は大丈夫か」と確認の電話があり、準備ができた旨を伝えると、「部下が取りに行く」と告げられた。
疑う余地なく
電話から10分ほど後、近くで待機していたとみられる別の犯人の男が被害男性宅を訪れた。被害男性は疑うことなく現金100万円を手渡した。「口がうまくて、疑う余地がなかった」。犯人の男は逃げるようにその場を立ち去った。
その後、被害男性が息子の携帯電話に「体調はもう大丈夫か」と連絡したことで詐欺被害が発覚。同日のうちに息子とともに警察へ通報した。息子からは「体を傷つけられた訳じゃなくてよかった」と慰められたという。
消えぬ後悔
被害男性は日頃から詐欺の手口を紹介するテレビ番組を見たり、家族と「お金の話が出たら怪しい」などと話し合ったりして防犯を意識していた。気を付けていたにもかかわらず信じてしまった理由について、被害男性は「ばかなことをした。息子の危機と知り、助けてやらなきゃと親心を利用され、洗脳されてしまった。『お前のためなら何とかするよ』と思ってしまった」と明かす。
犯人はまだ捕まっておらず、事件後も精神的なショックに苦しめられているという被害男性。「心配する気持ちを利用され、情けない。死ぬまで忘れないと思う。後悔ばかり」と胸中を語る。
被害男性は「これだけ世間で騒がれていても被害に遭う人がいる。お金の話が出たらまず疑う。すぐに家族や警察に相談してほしい」と強く訴えている。
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