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公開日:2026.07.24
藤沢駅南口再開発 工事費1.5倍で打つ手なし 物価高が影響、計画見直し
「フジサワ名店ビル」「ダイヤモンドビル」「CD(プライム)ビル」の3棟の商業ビルが並ぶ「藤沢駅南口391地区」の再開発を進める同地区市街地再開発準備組合は15日、物価高騰や人件費の上昇で工事費が当初想定の約1・5倍に膨らむことを踏まえ、事業計画の見直しを発表した。再開発ビルの竣工は最短で2035年としているものの、事業費のめどは立っておらず、今後も完成の遅れが懸念される。
3棟は1960〜70年代に完成した。昭和レトロな雰囲気を残す市民に馴染み深い商業ビルだが、フジサワ名店ビルとCDビルは17年に実施した耐震診断で「震度6以上の地震で倒壊または崩壊の恐れが高い」とされ、その後再開発に向けた準備組合が発足した。
再開発にあたって組合は、22年2月からテナント向けの説明会を開始した。23年6月には市が都市計画を決定。ビル3棟を一体化し、地上17階、地下2階建て、店舗やオフィス、多目的ホール、ホテルなどを設け、延べ床面積は約3万5200平方メートルの複合ビルとなる計画だ。
追加負担70億円
これまでも工事費高騰などの影響で、組合は事業スケジュールの延期を重ねてきた。直近では「32年の竣工・開業」を目指し、準備が進められていた。
しかし約270億円と見込んでいた総事業費では収まらず、権利者全体で約70億円の追加負担が生じる試算に。今年2月の理事会で従来の事業計画による進行が困難であることが確認された。エレベーターの削減といった設計変更によるコストカットも試みられたが、資金不足の解消には至らなかったという。
既存ビルが昭和期の基準下で、敷地限界まで建てられていたことも影響した。現在の基準では再開発後も新たに売却できる床面積(保留床)が確保できず、膨らんだ建設費をカバーしきれない構造的な課題も浮き彫りとなった。
営業期間を延長
27年度中に予定していた全館閉店も31年に延期に。組合では今春からテナントへの説明を順次重ね、事業計画の見直しと全館閉店の延期を発表した。今後は現状の設計案でさらに削減できる余地がないか検証を進めるほか、市場動向や建設コストの落ち着きを見極めつつ、関係者や関係機関との調整を図りながら事業性の改善に向けた模索を続けていく考え。
組合事務局は「再開発をあきらめたわけではない。南口のシンボルとして安全なビルを作る目標や地道に事業を進める覚悟に変わりはない」と強調した上で、「まずは各店舗が元気に営業を継続できるよう注力していきたい」と話している。
採算確保へ遠い道のり
準備組合事務局によると、各テナントへ全館閉店の延期を説明したところ、設備の更新投資など課題を抱えつつも、大部分の店舗からは営業継続の前向きな姿勢が得られたという。一方、すでに幕引きに向けた動きを進める店舗もある。
昨年10月、名店ビル2〜5階の「有隣堂藤沢店」は27年末での閉店を発表した。「SAYONARA FESTIVAL」と題した企画展シリーズを現在展開中だ。またダイヤモンドビル地下1階のスーパー「やまか藤沢店」は、建物の耐震性や企業判断から全館閉店を待たず、今月末での閉店が決まっている。
組合ではこれまで、事業の採算性を高めて高騰する建設費を補うため、大型集客施設や病院などの誘致を模索してきた。しかし、こうした施設に不可欠な駐車場を新設、整備すれば、建設費がさらに膨らむため、断念を余儀なくされた。
また同地区は市の条例で「非住宅」と定められているため、分譲することでまとまった資金を回収し、工事費の穴埋めに充てやすいマンションの建設も認められない。自力で事業性を確保する手段は限られているのが実情だ。
行政による支援にも上限はあるが、これまでも国・県・市を合わせた制度のもとで財政支援が行われてきた。市藤沢駅周辺地区整備担当は「藤沢駅南口の活性化の起爆剤となり得る重要な事業。今後の手続きや国などへの予算要求を含め、市としても再開発の実施に向けて可能な限りの協力はしていきたい」とコメントした。
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