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鎌倉のとっておき〈第28回〉 海が育んだ「鎌倉ブランド」

掲載号:2017年8月18日号

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材木座海岸から和賀江島を望む
材木座海岸から和賀江島を望む

 高徳院にその碑を残す明治の偉人・長与専斎が「海水浴場として理想的な海である」と絶賛した鎌倉の海。多い年には100万人を超える海水浴客で賑わうが、同時にここは昔も今も豊かな自然がもたらす「海のブランド」発祥の地でもある。

 中世鎌倉では、鎌倉産の「カツオ」は全国的にも有名で、吉田兼好が『徒然草』の中で「鎌倉の海で揚がるかつおという魚は、昔はたいした魚でもなかったのに、このごろは上等な魚になっている」とつぶやいているほどである。

 この「カツオ」、江戸時代になると5月最初に獲れたもの(初ガツオ)が鶴岡八幡宮に奉納されたほか、鎌倉から来る船を江戸沖で待ち構え、競って高く買い付ける者も現れるほどの「高級ブランド」として定着した。同じく江戸時代、かの「伊勢エビ」は鎌倉沖でも多くの水揚げがあったことなどから、「鎌倉エビ」と呼ばれ関東のみならず関西でも「ブランド品」として珍重されていたそうだ。

 そして現在、鎌倉はじめ湘南の海から揚がるおなじみの「シラス」。生や釜揚げはもちろん、バラエティ豊かな料理に姿を変え、市内はもとより県内外のレストランや惣菜店で大勢のファンを楽しませてくれ、今や鎌倉・湘南の「ブランド品」の代表格である。

 明治の頃、日本医学の発展を支えたドイツ人医学者ベルツから、「鎌倉は保養地として最適な地である」と称賛された「海」が薫るまち鎌倉。街の南に広がる紺碧の海原は、温暖な気候と豊富な自然の恵みを通して、今も人々の健康と日々の食生活に豊かな彩りを与えてくれている。

        石塚裕之
 

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