鎌倉のとっておき 〈第75回〉 鎌倉縁結び
鎌倉は海や山、歴史的史跡はもちろん、洒落たショップやカフェなどが立ち並び、まち全体に見どころが満載だが、縁結びのご利益が期待できる寺社も数多い。
始めに大町の「安養院」。安養院は北条政子の法名だが、政子がご本尊の千手観世音菩薩像に良縁を願ったところ、源氏の棟梁、源頼朝と結ばれたとの言い伝えが残っている。政子の供養塔もあり、春はツツジが咲き誇る花の寺でもある。
次に佐助稲荷神社。鳥居の立ち並ぶ参道の入口には、縁結びで名高い十一面観音が祀られている。この像は良縁に恵まれず出家した美しい姫様が、若い男女に良縁があるようにと祈って彫られたものと伝わっており、その神霊が頼朝に挙兵を促し、見事勝利に導いたとの言い伝えも残るパワースポットでもある。
そして鶴岡八幡宮の敷地内、源氏池に浮かぶ旗上弁財天社。ここには頼朝が政子の安産を祈念したとされる「政子石」が存在し、古来より夫婦円満、縁結びの霊験があるとされている。夏にはこの池に紅白の蓮が美しく咲き揃う。
このほかにも「縁結び不動明王像」が祀られている成就院や、「縁結び石」がある葛原岡神社、境内の3カ所に「良縁地蔵」が存在する長谷寺などは、いずれも縁結びのご利益がある寺社として知られている。
古(いにしえ)の万葉人もその恋心を歌にした鎌倉の地。今も昔も人々の縁(えにし)を結んでくれるまちである。
石塚裕之
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