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鎌倉のとっておき 〈第102回〉 踏切の傍らにひっそりと

掲載号:2021年2月5日号

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踏切そばの句碑
踏切そばの句碑

 江ノ電由比ヶ浜駅を鎌倉方面に進んで2つ目の踏切の傍ら、観光客も気付かず通り過ぎでしまうほどひっそりとその句碑はあります。

「波音の由比ヶ濱より初電車」

 新年の由比ガ浜の情景を詠んだ高浜虚子の句が刻まれています。

 この場所には俳人、高浜虚子の住居がありました。住居は虚子庵と呼ばれ、ここではしばしば句会が開かれたそうです。

 虚子は1874(明治7)年、愛媛県松山に旧藩士の子として生まれます。中学時代から同郷の正岡子規を兄事して文学を志します。その後、子規から「ホトトギス」を引き継ぎ、俳人となりました。

 東京・根岸の子規庵に居候しますが、母の病気、子規の死を経て、生活一新のため1910(明治43)年、鎌倉に移り住みました。虚子は鎌倉に住んだ最初の文士とも言われており、久米正雄の呼びかけによって結成された「鎌倉ペンクラブ」のメンバーにも加わります。

 東京にある「ホトトギス」発行所へは、電車で通っていたそうです。

 また御成小学校門標の校名の文字は、虚子が筆をとった事で知られています。

 温暖な由比ガ浜をこよなく愛した虚子は、鎌倉に移り住み約50年、1959(昭和34)年に84歳でその生涯を閉じます。現在は、壽福寺で安らかに眠っています。

井上靖章
 

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