神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
鎌倉版 公開:2022年3月25日 エリアトップへ

鎌倉のとっておき 〈第127回〉 鎌倉と幻の潟湖(せきこ)

公開:2022年3月25日

  • X
  • LINE
  • hatena

 治承4(1180)年源頼朝が入り都市としての発展を遂げたイメージの強い鎌倉。しかしかつて鎌倉郡の郡家(ぐうけ)(郡衙)が置かれ、相模国にあった8郡の1つとして、行政の中心地であったことはあまり知られていない。

 郡家は陸路と水路が交わる交通の要衝に築かれ、郡内の税を集め都へ運んだ。鎌倉は相模国と三浦半島・房総半島を結ぶ重要な地であった。

 鎌倉郡家が置かれた当時の海面は、今より4mほど高かったといわれ、船はかなり内陸まで入って来ることができたようだ。干満の差で絶えず河口付近の流れと水位は変化し、この差を利用して船は出入りした。

 滑川の流路は今と昔では少し違うが、河口付近には砂州が形成され、細長い砂丘が内側に静かな水面を生み出していた。これが潟湖である。潟湖は外海と隔てられているため波は穏やかで、喫水の浅い古代の船が停泊するには最適な港であった。鎌倉の潟湖は今の材木座(滑川側)付近にあり、河尻や沼浦という地名が往時を偲ばせる。

 北鎌倉にある新居山円応寺は、かつて潟湖を形作った砂丘上にあり、新居の閻魔堂と呼ばれた。このためこの辺りを流れる滑川は「閻魔川」ともいわれる。新居の閻魔堂は、江戸時代の地震で大破し現在地に移った。そして今も閻魔様を祀り続けている。

 海面の後退とともにいつしか潟湖は姿を消した。しかしその痕跡は古代都市鎌倉の象徴として、今も歴史に刻まれ続けている。  浮田定則

鎌倉版のコラム最新6

浄智寺の「魅力」

鎌倉のとっておき 〈第161回〉

浄智寺の「魅力」

4月12日

かまくら花めぐり(妙法寺(大町))

鎌倉のとっておき 〈第160回〉

かまくら花めぐり(妙法寺(大町))

3月29日

鎌倉サクラ穴場スポット

鎌倉のとっておき 〈第159回〉

鎌倉サクラ穴場スポット

3月22日

「長尾定景と岡崎義実」

鎌倉のとっておき 〈第158回〉

「長尾定景と岡崎義実」

3月1日

かまくら花めぐり(青蓮寺)

鎌倉のとっておき 〈第157回〉

かまくら花めぐり(青蓮寺)

2月23日

かまくら花めぐり(荏柄天神社)

鎌倉のとっておき 〈第156回〉

かまくら花めぐり(荏柄天神社)

2月2日

あっとほーむデスク

  • 4月22日0:00更新

  • 8月20日0:00更新

  • 7月16日0:00更新

鎌倉版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

鎌倉版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月24日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook