株式会社井戸屋(本社=市内堤)が、このほど茅ヶ崎中央公園に井戸を寄贈した。井戸には太陽光発電や手動ポンプなどの設備が備わっており、災害時にも水の供給が可能になる。
茅ヶ崎市を拠点に、井戸掘工事やポンプ設置工事などを手がけている同社代表の綾久(あやひさし)さんは、「お世話になっている茅ヶ崎の皆様に恩返しをしたい」という思いから、2013年秋に市への寄贈を申し出た。その後、設置場所が中央公園公衆トイレ南西側に決まり、2月3日に着工。地下約30mまで掘り進めて井戸水を確保し、貯水タンクや太陽光発電パネル、手動ポンプなどの設備を整えた。その間、大雪の影響もあったものの、約20日後の2月24日には設置工事が完了。本設備は約2・5m四方にコンパクトに収められた。
市は100V電源接続工事とトイレ配管工事を実施して、3月上旬には同公園のトイレ水洗水として利用を開始する予定だ。
本設備は、水中ポンプにより毎分20リットルを汲み上げ、貯水タンクに貯めてからトイレに流される仕組み。大きな特長として、災害時の断水や停電の際にも水が供給できる点があげられる。平常時、水中ポンプは100V電源で稼働するが、停電時には太陽光発電で蓄電された電力を活用。さらに、悪天候時など太陽光が機能しない場合は、手動ポンプで井戸水を汲み上げることができる。ポンプは子どもでも操作できるよう、軽量のものとなっている。
これは、同社が新たに開発したシステムで、2013年に開催された「第14回湘南ビジネスコンテスト」でビジネス準大賞を受賞したもの。綾さんは「阪神大震災や東日本大震災では、各所で水洗トイレが使えなくなり、被災者に強いストレスを与えました。このシステムが問題解決に貢献できれば」と話す。
また、水の供給以外にも、夜にはLEDの街路灯が点くほか、一定の電気の供給源になるなど、井戸設備は防災インフラとして貴重な財産と言えそうだ。
同社は、阪神大震災で水の大切さを実感した綾さんが震災の翌年の1996年に設立。東日本大震災後には、被災地の石巻市北上町で深さ100mの井戸を掘るなど、社会貢献活動を積極的に行ってきた。設置工事の完成に「井戸が少しでも茅ヶ崎の皆様に役立てば嬉しい」と思いを語っていた。
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