茅ヶ崎の轍(わだち) 第46回(前編) 道編「芹沢の道」 協力/茅ヶ崎市文化資料館
市内に一か所だけ「峠」の名が付く場所があります。県立茅ケ崎里山公園を抜けて、日本武尊(ヤマトタケル)が東征の折、富士が見えるこの地で下馬し、石に腰掛けたという言い伝えが残る腰掛神社に向かう道の途中に「一寸峠」(一足峠とも書きます)はあります。
傍らに庚申塔が祀られたこの小さな峠に立つと、東側には眼下に善谷寺や民家が見え、そちらに下る道があります。西側は落ち葉に埋もれた細い道が谷戸底へ急こう配で続いています。
この道は「神輿道」や「村渡りの道」といって、かつては浜降祭から芹沢に戻ってきた神輿が各集落を渡御する際に通ったそうです。この道を下ったところ(ここには道祖神が祀られています)は柳谷の谷戸底に当たり、道は尾根に向かって登る道、谷戸のへりに沿って続く道と幾筋かに分かれています。谷戸の雰囲気を体感できる比較的平坦なへりの道を進むと水田が開け、ここを横切って行くと先の一寸峠(一足峠)を腰掛神社の方へと下ってきた道に出ます。
高座丘陵の南端に位置する芹沢は「芹沢の九十九谷」といわれ、このように起伏に富んだ典型的な谷戸地形が随所に見られます。
【参考文献/茅ヶ崎市史】
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