「茅ヶ崎どっこいファーム」の代表を務めている 吉野 正人さん 浜須賀在住 59歳
「どっこい」情熱 土に込め
○…「『楽しい・美味しい・体にいい』をモットーに周りを元気にしたい」。「農薬や肥料に頼らず微生物と野菜を活かし合う」という炭素循環農法で土づくりから始め堤と赤羽根の畑でジャガイモや小松菜などを育てている。初出荷・販売も行い確かな手応えを得た。
○…靴産業が盛んな浅草の革問屋に生まれた。「勇ましさや傷が勲章だった」と小学校高学年から大人に交じり神輿を担いだ。中高一貫の芝学園(港区)ではサッカー部に所属。高2の秋、受験に備えて周りが自主引退する中「考えなしに流されない。高3まで気が済むまでやる」と現役続行。教師から「将来どうするんだ」と苦言を呈され火が付いた。朝練前の教室で黒板に英単語を書き大声で音読するなど”クレイジーな受験勉強”に熱中。成果が実り早稲田大学教育学部に合格した。
○…就農前は28年間、横浜高校で教員生活を送った。「スポーツ強豪校の反面、レギュラー落ちなどで挫折し目標を見失う生徒もいる」。不登校の生徒を思い、趣味の家庭菜園をヒントに校内の空地で野菜を育て始めた。「畑を手伝ってほしい」と声を掛け、ともに汗を流して野菜を育て、収穫して調理。「最高に美味かった。土に触れて育てる体験が人の心をほぐすと実感した」。生徒が集まり、数年後には菜園同好会を立ち上げるほどに。農業へ進むきっかけとなった。
○…現在は研修を受けながら土に向き合う日々。週末は妻も畑を手伝ってくれている。若大将に憧れ20年前から住んでいる茅ヶ崎で欠かせないのは、毎年浜降祭で担ぐ神輿。八大龍王神神輿保存會の會長を務め「今年も準備が始まっている。待ち切れないね」。農園にも名付けた相州神輿の掛け声”どっこい、どっこい”と威勢良く、茅ヶ崎の農業を盛り上げていく。
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