若手染織作家として活動している 鈴木 優香さん 高浜台在住 29歳
伝統の機織りに情熱注ぐ
○…「とても根気のいる作業だけれど、苦労を重ねてこそ美しい作品が出来上がる」と、染織の魅力を生き生きと語る。古典的な織り方にこだわったストールや着尺を多くの人に見てもらおうと、市内ギャラリーで念願の個展を開催している。「若い世代が伝統工芸に触れる良いきっかけになれば」と期待を寄せる。
○…染織との出会いは、進路に迷っていた大学3年生の時。雑誌で見つけた染織作家の記事がきっかけだ。「作家さんが機織りをしている写真をみて、私もこんな生き方をしたいと感銘を受けた」と、目を輝かせる。その後アルバイトで学費を貯め、都内の専門学校で染織を学んだ。
○…24歳で、沖縄の特産品である「芭蕉布」の織りを学ぶため、単身で沖縄県大宜味村に移住。師匠から1年かけて技術を教わった。住んでいたところは、家賃月5千円の古民家。「草は生え放題だし、ヤモリやクモが出てくるなんて日常茶飯事。おかげで虫退治は得意になりました」。おっとりとした雰囲気ながら、たくましさを感じさせるエピソードだ。
○…染織作家の毎日は忙しい。作品は糸を紡ぐところから始まり、昔ながらの足踏式織機で丁寧に糸を編んでいく。出来上がった布は、植物を使って色をつける草木染めで仕上げるなどとことんこだわる。時には3カ月以上かかる大作もあるといい、「糸の量や編み方、多少の誤差も許されない。一瞬一瞬が気の抜けない作業」と職人の顔をのぞかせる。現在は自宅の一部に工房を構え、オーダーに応じて作品を制作している。
○…幼少期は父の転勤で日本から離れることが多かったせいか、生まれ故郷の平塚に帰ってくる度にこのまちの温かさを感じてきたという。「染織を通して、自分を支えてくれている地元の方々に恩返しをしていきたい」。いつの日か平塚で染織教室を開くことを夢見て、今日もテンポ良く織機を踏む。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
<PR>