競輪で通算500勝を達成した 高木 隆弘さん 平塚競輪場所属 50歳
師匠の教えを胸に秘め
○…「他人よりも多く自転車に乗れ」。競輪のイロハを叩きこまれた師匠の小門道夫氏の言葉を胸に、デビューから30年で掴んだ節目の勝利は競輪界32人目の偉業だった。500勝に向けて周囲が指折り数える中、「通過点だ」と言い聞かせて目前のレースに集中した。快挙は7月の大垣競輪場。ゴール手前で中団から鋭く突き出る追い込みで勝利をもぎ取った。「歳を重ねるごとに1勝の重みを感じる時間だった」と安堵の表情を浮かべる。
○…高校時代は陸上部だったこともあり、体育教師を描いた人生設計は、卒業間際に足を運んだ競輪場で上書きされた。激しく身体をぶつけ合いながらバンクを全力疾走する選手の姿に惹かれ、進学を勧める両親の反対を押し切って競輪界に飛び込んだ。「いつか追いつき、必ず追い越す」。競輪学校には、自転車競技の全国大会出場者が占めた。競技経験ゼロからの出遅れは、人懐こい笑顔とは対照的な負けん気の強さで挽回した。
○…厳しいプロの世界で生き抜く勝負師も、妻と小学生の娘2人が待つ自宅に帰るとパパの顔が覗く。自宅では自転車の話はしない主義で、夜遅くに帰宅しても娘の朝食時間には起床し、家族団らんの時間を大切にする。「ストレスなく選手を長く続けていられるのは家族の支えが合ってこそ」と感謝の言葉を並べる。
○…ベテランの域に入り、体力の衰えを感じながら白星を重ねられたのは、努力の大切さを説いた師匠の教えがあってこそ。自転車に触れない日はなく、毎日6時間の練習に取り組む。2人の弟子にも「手を抜くな」と目を光らせ、経験を伝えている。師匠よりも長く現役選手でいられることが恩返しと捉えており、「せめてあと5年は続ける」。まだまだ若い世代に負けるつもりはない。
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