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公開日:2023.10.26

御殿在住柳さん
「平塚産綿」で衣服を
子のアレルギー、栽培契機

  • 綿の状況を確かめる柳さん

 平塚で栽培した綿100%の衣服作りに向け、御殿に住む柳祐輔さん(40)が挑戦を続けている。市内の農園で育てた綿を原料に、子ども向けの衣料品を製造販売する計画。壮大な取り組みの原動力は、「アトピーに悩む2人のわが子に安心して着られる服を」という親心だ。

 柳さんの長女・遥花さん(8)と長男・友寿君(5)は、慢性的なアトピー性皮膚炎の影響で化学繊維の衣服をなるべく避けているという。自らが原料の生産から携わることで、子どもたちが安心して着られる綿100%の衣服を作りたいという思いが募り、個人事業主として働きながら構想を進めてきた。

 今年6月、綿の自家栽培と化学薬品を使わないオーガニックコットン製衣服の開発に着手。独学で栽培を学び、北豊田で40平方メートルほどの市民農園を借りて生産に取り組む。

 慣れない農業に試行錯誤しながらも綿は順調に生育し、今月中には西洋綿と日本綿が50〜100kgほど収穫できる見通しが立った。綿は縫製工場などに持ち込み、300着の子ども用衣服を製造。来年にはインターネット通販などで販売を予定しており、柳さんは「同じ悩みを持つ子どもたちや親にも着てもらえたらうれしい」と話す。

新たな産業創出農福連携も視野

 柳さんは綿の生産を通して、平塚の産業振興にもつなげたいと青写真を描いている。

 「国内で流通する衣服の9割はポリエステルを使っていて、綿も海外からの輸入が多い。国産の綿をもっと増やして、平塚といえば『綿』と思ってもらえるようになりたい」と柳さん。かつて市内には相模紡績工場があり繊維産業が盛んだった歴史も、そんな思いを後押しする。

 今後は社会福祉法人進和学園の利用者に収穫作業を依頼するなど、農福連携の障害者就労支援も視野に入れる。市内小学校の児童に、綿摘みなどを体験してもらう計画も練り始めた。わが子の健康を願う気持ちから生まれた事業は産声を上げたばかりだが、「目指しているものの実現には何十年とかかるけれど、悲観的にならず楽しみたい」と表情は晴れやかだ。

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