平塚・大磯・二宮・中井 教育
公開日:2025.10.17
伯父の手紙 伝える戦争
兄弟で平和呼び掛け
「戦争の悲惨さ、愚かさを、戦後80年の節目に見つめ直してほしい」。平塚市河内在住の岩崎稔さん(81)は、1937年に厚木市戸田(当時は相川村)から出征し、中国で命を落とした伯父・昌治(しょうじ)さんが戦地から家族に宛てた手紙を見つけたことをきっかけに、弟の誠二さん(80)と協力しながら、昌治さんの人生を伝える書籍の出版や、平和を訴える展示などを行っている。
昌治さんの手記から読み取れるのは、1人の優しい青年が、戦争下で「命を奪う」ことを肯定していく心境の変化だ。5人の弟妹を束ねる優しい長男だったという昌治さん。最初の頃の手紙では、現地中国人に対して同情的だった眼差しは、戦火を交えて軍の仲間を亡くすことで変わっていった。稔さんは「この手紙を読んだ時、伯父が人を殺したんだということに葛藤があった。でもこの事実を『世に出さなくては』という思いが強かった」と話す。
誠二さんは「手記の中には南京大虐殺についての記載もある。加害の歴史を政治的なものとせず、家族が戦争によって変わってしまうことに目を向けてほしい」と話していた。書籍などの問い合わせは岩崎さん【メール】m.iwasaki@wg7.so-net.ne.jp。
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