秋山真之の書簡など 徳富蘇峰記念館で「『坂の上の雲』の群像展」
日露戦争で作戦参謀として活躍し、日本海海戦を勝利に導いた海軍軍人秋山真之、連合艦隊司令長官東郷平八郎、初代内閣総理大臣を務めた伊藤博文。司馬遼太郎の歴史小説『坂の上の雲』に描かれた人物たちの肉筆書簡などを集めた特別展が、二宮町の徳富蘇峰記念館で開催されている。
「『坂の上の雲』の群像展」と題する企画展示は、秋山真之をはじめ大山巌や明石元二郎、山縣有朋、桂太郎、陸奥宗光、森鴎外ら、日露戦争とその時代に関わった海軍・陸軍軍人、政治家、文化人の書簡などを紹介。東郷平八郎が87歳で没する年に残した蘇峰あての揮毫や乃木希典の手紙といった貴重な資料もある。
秋山真之が蘇峰に送った書簡は蘇峰の著書『世界の変局』に対する礼状で、戦術家として知られる真之の流麗な筆跡とともに律儀な人柄がうかがえる。ポーツマス条約の全権大使を務めた小村寿太郎が日比谷焼き討ち事件の際に寄せた手紙には、「蘇峰の新聞社が焼き討ちに遭ったことを遺憾に思う。政府の力をもって暴動を治めるつもりだ」という内容が記されている。
文化人では俳人正岡子規と親交のあった夏目漱石や、日露戦争に従軍していた弟を想い『君死にたまうことなかれ』を発表した与謝野晶子の手紙を展示。蘇峰が師と仰いだ新島襄や勝海舟の書、西郷隆盛の外套、橋本雅邦の水墨画「四季山水」、蘇峰91歳の時の揮毫なども見ることができる。
「近代日本の夜明けに向けて時代の先端に立っていた人物ばかり。肉筆書簡などの資料を通して、志高く国を拓いていこうとした彼らの気概を感じてもらえるのでは」と記念館では話している。特別展は11月30日(水)まで。
徳富蘇峰は明治から昭和にかけて文筆や評論、出版などで活躍した言論人。同記念館は彼の遺品や蔵書、原稿、各界要人からの書簡などを託された蘇峰の秘書塩崎彦市氏(故人)がこれらの資料を保管し、公開する目的で設立した。記念館の庭園は梅の名所としても有名だ。
開館日時は月・水・金曜日の午前10時〜午後4時。梅の見頃にあたる2月は土・日曜日も開館。入館料大人500円、中高校生200円。JR二宮駅北口から徒歩約12分。問い合わせは同記念館【電話】0463(71)0266まで。
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3月29日