「浜辺の景観も元に」 二宮町で相模湾なぎさシンポジウム
平成19年9月に発生した台風9号の影響で砂浜が流出した西湘海岸(大磯・二宮海岸)の復元について考えるシンポジウムが、二宮町生涯学習センターラディアンで22日に開かれた。海岸保全の専門家や地元漁協組合長、町民団体の代表ら5人がパネリストとして登場。「海岸侵食の根本原因を探り、対策を講じていくべき」「台風以前の浜に戻すことが地元住民にとって一番の願い」などと意見を述べた。
「相模湾なぎさシンポジウム」は、県と相模湾沿岸の8市5町、県議会なぎさ議員連盟で組織するなぎさづくり促進協議会が主催した。今回で7回目。大磯二宮両町の町長と古尾谷光男副知事をはじめ、県議や関係市町の議員、一般参加者ら約230人が集まった。
前半に基調講演があり、二宮海岸に砂浜を戻す会の岡村綾乃さんが砂浜回復へ向けた取り組みや署名運動を行ってきたことを報告。元永秀国土交通省京浜河川事務所長は、昨年11月から大磯海岸で進めている海岸保全のための新技術開発の現地試験について説明し、宇多高明(財)土木研究センター常務理事が砂浜の復元策を語った。
討論会には地元漁協組合長、大磯海の会議、二宮海岸に砂浜を取り戻す会の代表者らが登壇し、意見交換を行った。漁師の仕事で浜を50年以上見てきたという二宮漁協の美濃島登組合長は、大量の消波ブロックが投入されて以前と様変わりした浜の景観について言及。「海岸は地元住民にとって散歩や釣りをする憩いの場。いずれは消波ブロックが砂で覆われて見えなくなるのかもしれないが、ブロックは外される方がいい」と要望した。また、海岸工学の専門家からは沖合に砂の流出を防ぐ人工物を設置する海岸保全策に関して「工作物による海の副作用を考えていくべき」と意見があった。
二宮町の坂本孝也町長は「二宮でシンポジウムが開かれたことに感謝する。4年前に箱根でシンポジウムがあり、その1ヵ月後、西湘海岸は台風でひどい状況に見舞われた。海岸復元工事を国の直轄事業に認定してもらえるよう3回お願いに行ったが、時間がかかる。1日でも早く元の砂浜が戻ることを熱望しており、それが二宮大磯全町民の願いだ」と述べた。
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