前進の「トンボ」石巻へ 飾り結び教室の田中さんら300個作製
後退することがなく、前にだけ飛ぶトンボにあやかり、少しでも東日本大震災の復興支援の力になれたら―。大磯町の南本町会館で飾り結び教室を開いている田中初枝さん(二宮町在住)とその生徒たちが、飾り結びを用いた組み紐のトンボ型ブローチ300個を作製した。魔除けの意味も込められたトンボ飾りは宮城県石巻市へ届けられる。
「私にできることで、被災地の人々の力になれることはないか」と考えた田中さん。大磯町の文化祭に出展している、飾り結びのトンボ作りを思いついた。最高齢者は89歳を含む教室の生徒8人が協力し、約3カ月かけて300個のトンボをこしらえ、ブローチに仕立てた。
トンボは前にしか進まない習性を持つ昆虫。不退転の意味から縁起のよい「勝ち虫」として、昔は武士たちがトンボ柄を兜や刀の鍔などに使用したという。
そんなトンボと伝統工芸の飾り結びを合わせて出来たのが、右の写真のブローチ。左右の羽根の中央に総角(あげまき)結びと呼ばれる技法を使っているのが特徴だ。総角結びは高松塚古墳の壁画の天蓋の四隅や武具、調度品などの飾り結びに見られ、魔除けの象徴にもなっているという。
飾り結びのトンボは大磯町が職員を派遣している宮城県石巻市役所へ届けることが決定。田中さんは「胸に付けたトンボのブローチがぼろぼろになった時には復旧・復興が進んで、被災地の皆さんに笑顔が見られることを祈っています」と話していた。
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