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日本国憲法の制定過程から学ぶ 芦田小委員会(1) 〈寄稿〉文/小川光夫 No.81

公開:2011年8月19日

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 7月25日に第1回の小委員会が開催された。第1回の会議は衆議院の第一委員室で行なわれたが、猛暑にたまりかねた議員が上着を脱ごうとしていたのを見て、自由党の廿日出厖(はつかでひろし)議員が「日本の将来にかかる大切な憲法の審議であるから、上着をつけてやろう」と申し合わせ14人全員が冬服のまま汗だくの論議を続けた。事務局が1日に2回ほどぶっかき氷をバケツに入れて持ってきたが、あまり効果はなかった。冷房もないモアモアとした室内に風を入れるため議員達は部屋の窓を開けたが、そこから見えるのは東京の焼け野原であった(芦田均日記より)。

 小委員会の委員は、元々10名であったが、会議に先だって、芦田委員長より、北昤吉、高橋康雄、原夫次郎、西尾末廣議員の四名を委員として追加を発表した。そのことについて他の委員より、今回の小委員会の委員は特別委員会で決まった各党派の代表であり、何故彼ら四人を追加させたのか、それによって小党派の代表の意見が不利に導くのではないか、として意見が出された。それに対して北議員は、「多数であるとか少数であるとか云う問題ではなく、私はなるべく政党的色彩は除きたいと云う意識である。我々が原案として出したことでも、修正案として出したことでも、諸君の中で正しい議論があれば、いつでもそれに承服する。他の法案でもその態度でなくてならないと思うが、まさに憲法の場合は、全国民の運命であり、また将来の国民の運命でもある。…十年後の我々子孫に笑われることになってはならない。…敗戦国として日本を立て直すことが勿論第一義に置かれねばならぬが、憲法の文章までも翻訳調的に日本文らしからぬものを残して置くと将来の恥になる。思想の良い所があれば採り入れても良い。制度の良い所があれば採り入れても良い。採長補短は我が国の過去の歴史の長所である。虚心坦懐で良いけれども、言葉の末までも直訳的なものを残すのは我々としても忍びがたい。将来笑われないように、みなさんもお考え願いたい…」と述べている。この意見に対して廿日出議員なども同じ気持ちであると表明した。これまでの枢密院本会議や衆議院本会議において提出された帝国憲法改正案はまったく翻訳調であったことから、芦田小委員会での北議員の不安になる気持ちは痛いほど理解できる。しかし彼らの憲法に関する本音は、憲法修正がGHQの承認のうえにのみ成り立っていたことから、最初から制約の中で行なわれており、十分に反映されるものではないことを残念がった。それでも彼らの日本を思い遣る気持ちは北議員の言葉のなかに秘められている、といえる。

 不況と東日本大震災の最中に党派を超えて対応しなければならない時に、足の引っ張り合いを続けている現在の日本の政治家達にそんな覚悟と熱意はあるのだろうか。高度経済成長の過程で日本国民が必死に蓄えてきたお金で現在の経済は細々と支えられているものの、あと20年もするとその蓄えも底が付き経済はもっと深刻になるだろう。その為にも若者を育てなければならない時に、高齢の政治家達は自分達の利権のために、官僚は天下り、渡りで自分達の私腹を肥やすことに奔走し、若者達を迎え入れることはしない。
 

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