国府中学吹奏楽部 県大会「金」と最高賞 念願の東関東大会初出場へ
大磯町立国府中学校(川越初榮校長・生徒数364人)の吹奏楽部が、8月8日に横須賀市のよこすか芸術劇場で行われた第60回神奈川県吹奏楽コンクール中学生B部門1日目(主催/県吹奏楽連盟・朝日新聞社)で金賞を受賞した。この日に出場した30校のなかで最優秀の演奏であることが高く評価され、朝日新聞社賞も受けるダブル受賞となった。来月17日、同劇場で開催される東関東大会へ初めて出場する。
国府中学校吹奏楽部は自由曲として、江戸時代後期に突如出現した謎の浮世絵師東洲斎写楽に曲想を得た「写楽」を披露。写楽が描いた歌舞伎役者の大首絵をモチーフにした楽曲だ。仇討ちや盗人が出てくる物語の世界が、緩急あるテンポで展開されていく。吹奏楽では珍しい和楽器の締め太鼓や、歌舞伎で効果音を出す際に木を板に打ちつけて鳴らす「ツケ」のパートがある。楽器編成は最少で42人、50人以上が望ましいとされる曲だが、部員36人で演奏した。
今年春、部員たちは「写楽」に取り組むのにあたり、曲の題材となっている浮世絵を知ることから始めた。顧問の池上喬之教諭が作品について説明。生徒たちは役者絵を見て膨らませたイメージをアンサンブルに注ぎ込んだ。県大会では審査員から「一人ひとりが技術的にとてもよいものを持って、しっかり演奏している」「メリハリが効いた表現が大変よい」「スケール感のある演奏で、立派な音楽づくりに好感がもてる」などと講評があった。
同部は県大会出場の常連。昨年と一昨年も県大会で金賞に選ばれたが、あと一歩のところで東関東大会に届かなかった。金賞を取った学校の中でも上位に入らなければ、東関東へ行けないのだ。とりわけ3年生は2年続けて悔しい思いをしてきただけに、東関東大会への初出場決定と、ナンバーワンの演奏が認められた朝日新聞社賞受賞の喜びはひとしお。
先週は休みだった練習も今週から再開。部員たちの譜面をのぞくと、「江戸っ子のようにいきいきと」「スピード感」「緻密に」「芯のある音」などと書き込みだらけで真っ黒だ。吹奏楽にかける情熱は並々ならぬものがある。
フルート担当で部長の西村英恵さん(3年生)は「東関東大会でも写楽が描いた役者たちの風格が伝わる演奏をしたい」と意気込みを語っていた。
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