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日本国憲法の制定過程から学ぶ 芦田小委員会(2) 〈寄稿〉文/小川光夫 No.82

公開:2011年8月26日

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 連日、審議は午前十時から午後5時頃まで行なわれたが、秘密会であったことから、本音をいう議員も多かった。しかし速記者が二人いて審議の内容は翻訳してGHQに提出しなければならないことから、本音が出た場合には、速記をストップさせた。

 これまで枢密院本会議ではGHQ草案を基に、衆議院本会議では、6月20日の帝国憲法改正案を基に各党からの意見を受けて政府が答弁する流れであったが、この小委員会から初めて条文などの具体的な手直し作業が行なわれた、と云っても良い。小委員会はまず各党からの修正意見を出して貰い、問題点を指摘して意見をまとめるというやりかたであったが、「この小委員会だけは党派を超越して、一丸となった気分を原則として進めて行きたい」という意見も出て会議は盛り上がっていった。

 第1回から第3回までは、その多くが憲法の前文に費やされたといってよい。

 7月26日(金曜日)第2回の小委員会では、冒頭に鈴木義男議員より本日の新聞記事の発表で「芦田委員長が前文にある『国民の総意』という言葉を訂正し、『主権は国民に存する』というようになったようなことが載っているが、これは意見として各党の代表が述べたことであって小委員会でまとまったものではなかった」と発言して紛糾した。結局、新聞各社が芦田委員長のコメントを曲解したということでその話はおさまった。

 その後、吉田安議員や鈴木義男議員からは、政府の金森徳次郎説では「民」という言葉には天皇を含む、という考え方を示しているが、ヨーロッパでは「主権在民の民」という言葉には君主との対立的観念が強く入っている、と主張し、そのことが審議の議題となった。北昤吉議員は、共産党は「人民人民」、「人民戦線」という言葉を度々使用しているが、それは天皇に対する人民、つまり治者、政府並びに支配階級に対する被治者階級の人民という解釈に立って用いており、人民のみに主権があるという印象を与える虞がある。したがって「主権在民」という言葉よりもむしろ「国民主権」という言葉の方がよいのではないか、と意見を述べた。

 その後は、憲法前文の趣旨を生かしながら、マッカーサーの憲法改正草案を一行ずつ検討し、詳細な削除、修正を行った。さらに7月27日(土曜日)第3回小委員会会議においては最終確認がなされ、「政府の行動によって再び戦争に惨禍が発生しないやうに」、「われらは、これに反する一切の法令と詔勅を廃除する」などのような文言が加わるなど、多少の違いはあるものの、現在の日本国憲法前文に近いものとなった。
 

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