東京工業大学栄誉教授で、2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大磯町在住の大隅良典さん(71)が、受賞から一夜明けた4日、妻の萬里子さん(69)と共に会見を行った。大隅さんは「生物学者としてこの上ない光栄」と語り、長年の研究生活を支えた妻と受賞の喜びを分かち合った。
大隅さんの研究室がある東工大すずかけ台キャンパス(横浜市緑区)の会見場。2人が姿を見せると報道陣のカメラが一斉にフラッシュを光らせ、大学関係者や学生から歓喜の拍手がわいた。花束を受け取った大隅さんは「多くの共同研究者、友人に恵まれ、とても自由に研究ができたおかげ」と、周囲の支えに対して感謝の言葉を述べた。
3日の受賞決定から報道陣への対応に追われ、萬里子さんと対面できたのはこの日の会見直前だったという。大隅さんは「ワイフがどういうことを思っているのかは良く分かるので、あまり話が弾んだわけではありません」とひょうひょうと語り、会場の笑いを誘った。萬里子さんは、受賞直後に大隅さん本人から吉報が届いたといい「いつも私をだましたりからかったりする人なので、本当だと分かったときは心底驚いた」と穏やかな表情を見せ、「主人の努力を世間の皆様が認めてくださったことに心から感謝したい」と夫の偉業を称えた。
地道な基礎研究花開く
日本人によるノーベル賞の受賞は大隅さんで25人目、医学・生理学賞は昨年の大村智さんに続き4人目となった。受賞直後に開いた3日の会見で、大隅さんは「少年時代からの夢だったノーベル賞の受賞には格別の重さを感じる」と快挙をかみしめた。
大隅さんは、細胞自らが不要になったたんぱく質などを分解する自食作用「オートファジー」の働きを解明した成果が評価された。「自分の私的な興味に基づいて、人がやらないことをやろうという思いで研究してきた。基礎的な研究が今日のオートファジー研究の大きなきっかけになったのであれば、基礎生物学者としてこの上ない幸せ」と語る表情には、地道な基礎研究が認められたことへの達成感がにじんだ。
中崎大磯町長「町の誇り」
大磯町では4日、町民の大隅さんがノーベル賞を受賞したことを受け、中崎久雄町長が記者会見を開いた。
3日に報道関係者から受賞の知らせを聞いたという中崎町長は「140年の町政の中で、こんなに誇らしいことはない。今このときに町長を務めていられることを幸せに感じている」と賛辞を贈った。
大隅さんとは年齢が近いこともあり「素晴らしい人とこの町で一緒に住んでいるということはとても励みになる」と、同世代の功績に口調を弾ませた。町長就任以前は医師として医療の世界に携わった経験から「(大隅さんの研究が)日本の医学レベルの向上につながることを願いたい」と期待を込めた。
町では、吉田茂や島崎藤村、澤田美喜など町ゆかりの著名人6人を名誉町民に選んでおり「ご本人の意向も伺いながら検討していきたい」と、大隅さんへの称号授与についても前向きな姿勢を見せた。
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