二宮町松根在住の須藤太助さん(弥栄高校3年)が、6月16日に開催された「第65回全国高等学校総合体育大会神奈川県予選会」の男子剣道団体に同校剣道部の大将として出場し、初優勝を果たした。公立高校の大会制覇も県内初の快挙。同部は8月9日から三重県で開催される全国大会(=インターハイ)へ出場する。
県内の高校男子剣道団体は近年、弥栄・桐蔭・横浜・東海大相模の4校が上位を争う大会が続いていた。その中で弥栄は昨年の県予選で3位、今年5月に行われた関東大会県予選では準優勝と、あと一歩のところで優勝を逃してきたという経緯がある。
だが今大会では選手たちの気合が違った。同部を指導してきた梅澤隆夫監督の引退が決まり、選手たちは井上涼部長を中心に「絶対に優勝して監督を全国に連れて行こう」と誓い合い、これまで以上に自主的に練習に取り組みながら、満を持して今大会に臨んだ。
悲願の優勝
初戦から昨年ベスト16の大船高校と対戦するなど、強豪校との厳しい試合が続いた今大会。弥栄は同部が「弥栄流攻撃剣道」と称する、正々堂々とした攻撃の姿勢を貫いて決勝まで駒を進めた。
決勝では昨年の県予選で敗れた桐蔭と因縁の対決となった。両校がしのぎを削る一進一退の攻防が繰り広げられ、副将同士の対戦を終えた時点で勝敗は2対1。弥栄がリードするものの、大将に勝敗が委ねられる展開となった。須藤さんはチームの期待と重圧を一身に背負いながらも集中した巧みな剣さばきで相手の猛攻をしのぎ、引き分けに持ち込んで悲願の優勝を果たした。「チームのため死ぬ気で挑もうと思った。実際の時間以上に長く感じた6分間だった」と大将戦を振り返った。
二宮の剣道が原点
二宮剣道部で幼稚園の年長から剣道を始めた須藤さん。今回のインターハイ出場も「二宮で培ってきた精神力のおかげ」と話す。子どもの頃から須藤さんを指導してきた二宮剣道部の井上登代表は「彼は芯がしっかりしていて、着実に力を伸ばしてきた選手。大将の責任感をもって、全国でも自分の剣道を貫いてきてほしい」と激励した。
練習時間より質を重視するという弥栄高校剣道部の練習を「きついけれど毎日達成感がある」と日々手応えを感じている須藤さん。インターハイに向けて、得意の面打ちの強化と体力づくりに取り組み、帰宅後もほぼ毎日走り込みをしているという。一方で、ゲームでの息抜きや和菓子が好きなごく普通の高校生でもある。「目標は全国優勝。県代表として県内の高校の分もしっかり戦ってきます」と力強く意気込みを語った。
8月に全国大会を迎える同部だが、中学時代を含めても全国を経験したことのあるメンバーはいない。「勝つことも大事だが、3年間積み上げてきた自分たちの剣道で戦うことにこだわりたい」(井上部長)と、同部の目標である「日本一」を叶えるべく一丸となって初の大舞台に臨む。
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