伊勢原市下糟屋の高部屋神社(宮本佳昭宮司)に伝わる「汐汲み神事」が、9月8日に大磯町の照ヶ崎海岸で行われた。平安時代から千年続き、廃仏毀釈で明治初頭に途切れた神事を昨年、氏子らが約150年ぶりに復活させた。
海の神・航海の神とされる「住吉三神」を祭る同神社。三神が照ヶ崎海岸から上陸したと伝えられていることから、例大祭に使う海水と浜砂、海藻のホンダワラを照ヶ崎まで採りに赴く神事が明治初頭まで行われていた。近年は例大祭前に氏子が照ヶ崎を訪れて海水などを採取していたという。2年前に本殿と拝殿が国登録有形文化財に選ばれるなど慶事が重なったことをきっかけに神事再開の機運が高まり、昨年に復活した。
再開から2年目の今年は、伊勢原から神職や氏子ら9人が照ヶ崎を訪れた。約50人の見物人が見守るなか神職が厳かに祝詞を上げ、氏子が海に入って柄杓などを使って海水や浜砂、海藻を採取した。氏子総代代表の服部登志夫さんは「高部屋神社にとって最も大切な神事であり、国内でもおそらく唯一の珍しい儀式。復活を遂げたこれからも伝統を守り、毎年継続していきたい」と話している。
採取した海水は鎮火水として神社にまつられ、ホンダワラは拝殿と鳥居の注連縄に飾られる。浜砂は9月16日(日)に行われる例大祭の儀式「浜砂撒き」で、清めの塩のように撒かれる。
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