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大磯ゆかりの日本画家 安田靫彦との親交示す 吉田茂の書簡 町へ寄託

文化

公開:2020年6月26日

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吉田茂から安田靫彦に宛てた書簡
吉田茂から安田靫彦に宛てた書簡

 大正から昭和にかけて大磯町を拠点に活躍した日本画家・安田靫彦(1884〜1978)に宛てた吉田茂元首相の書簡38通が、このほど遺族の計らいで町へ寄託された。書簡の内容からは、同時代に同じ町で暮らした2人の親しげな様子を窺い知ることができる。

 近代歴史画の大家として知られる安田靫彦(本名・新三郎)は1914年から大磯に居を構え、「飛鳥の春の額田王」や「黄瀬川陣」など教科書でもおなじみの作品を多数発表した。日本美術院の理事長を務め、48年に文化勲章を受章。78年に大磯の自宅で没し、墓所は大運寺にある。吉田茂同様、大磯町から名誉町民の称号が贈られている。

 書簡は1950年から66年頃に吉田茂から安田靫彦へ送られたもので、これまで安田家で保管されていた。今年1月に靫彦の孫にあたる由紀夫氏から町へ寄託の打診があり、大磯町郷土資料館で町の歴史研究に役立てることになった。

作品依頼から食事の招待まで

 1954年の秋、外遊中の吉田が大西洋上の船中から送った手紙には、英国のチャーチル首相と面会した際に富士山の絵を贈ると約束したので、安田に大磯から見た富士山の絵を依頼したい旨がつづられている。後に吉田が著した「回想十年」(初版時の装丁は安田が担当)によれば、この時「富士山であれば横山大観氏が最適任」と一度断られたが、なんとか引き受けてもらい、出来上がった作品をチャーチルに贈ったと述懐している。今回寄贈された書簡の中には、「期限はないので気楽に描いてほしい」と気遣う内容や、作品の出来に感激し「美事なる富士出来上がり、有難く候」と感謝を伝える手紙もあった。また、東京国立近代美術館の新館建設について安田に意見を求める内容のものもあり、町郷土資料館が所蔵している安田から吉田へ送られた手紙と関連することから、同館では「より研究が進む」と期待する。他にも年頭挨拶や暑中見舞い、安田家から贈られた漬物に対するお礼、安田夫妻を昼食に招待するものなど、書簡から両家が親しく交流していたことが想像できる。

 町郷土資料館に安田関連の資料はまだ少ない。同館では「書簡の内容について調査を進め、将来的に書簡の公開や、安田・吉田の関係についての展示などを検討したい」と話している。

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