新型コロナウイルス感染症の陽性者や感染の疑いのある傷病者を隔離して搬送する機材「アイソレーター」1台を二宮町消防本部が配備し、11月1日から運用を開始した。救急隊員や救急車に同乗する患者の家族などを二次感染から守り、救急体制の強化を図る。
二宮町消防署に配備されたアイソレーターは、既存のストレッチャーに取り付けて使用する患者搬送用カプセル。透明のビニール製カバーに傷病者を収容し、内部を陰圧状態に保つことができる。頭部側の給気口から取り込んだ空気は足元へ向かって一方向に流れ、足側の排気口にある特殊なフィルターを通して排出される。0・1〜0・2マイクロメートルの粒子をほぼキャッチするという「ULPAフィルター」が、患者の呼気に含まれるウイルスがカプセルの外部に流出するのを防ぐ。
陰圧ユニットは乾電池で作動。搬送者を救急車に乗せた後や走行中は車内の電源につなぎ、救急車から降ろして病院内に運ぶときは再び乾電池で動かす。連続720時間の使用が可能だという。
新型コロナの感染防止のため、救急隊員は防護衣と医療現場などで使用する高性能のN95マスク、ロング手袋、ゴーグル、靴カバーを装着して出動している。救急車の運転席と後部の患者スペースをビニールシートで間仕切るほか、車内の資機材などにウイルスが付着しないようシートで覆い、対策を講じてきた。アイソレーターを導入したことで、車内をシートで養生する作業は省けるようになった。患者の搬送に使用したビニールカバーは1回ごとに交換して廃棄する。価格は一式約220万円。
再拡大に備え
空気が乾燥する季節を迎え、北海道で起きているような感染の再拡大や、症状からは区別がつきにくいといわれるインフルエンザとの同時流行が懸念されている。同消防署の秋澤孝治署長は「アイソレーターの配備により、感染症への対応能力の大幅な向上につながる。これからも救急体制の維持を図り、安定した救急サービスの提供に努めていく」と話す。
11月5日には村田邦子町長が消防署を訪れ、アイソレーターの使い方や消防職員の研修の様子などについて聞いた。
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