県の「津波災害警戒区域」に、大磯町・二宮町・藤沢市が指定される見通しとなった。津波による浸水被害の恐れがある区域の避難体制を強化するためのもので、県と各市町は年度内の指定を目指し住民説明会などを予定していたが、新型コロナウイルスの感染再拡大により計画がずれ込む可能性が出てきた。
東日本大震災を教訓に2011年に施行された「津波防災地域づくりに関する法律」に基づき、県は沿岸部の15市町を対象に津波災害警戒区域の指定を進めてきた。19年に先行して小田原市・湯河原町・真鶴町が指定されている。指定により、津波が建物などに衝突した際のせり上げ高を想定した「基準水位」が10m四方ごとに0・1m単位で示されるため避難すべき高さが明確化できるほか、区域内の病院や福祉施設などに避難確保計画の作成や訓練の実施が義務付けられる。
コロナの影響も
県は最大クラスの津波をもたらす地震を想定した浸水想定を15年に公表しており、大磯と二宮では最大で高さ17・1mの津波が3分で到達するとの予測が示された地域もある。警戒区域に指定されるのは、この浸水想定とほぼ同じ範囲で、大磯では沿岸部と花水川・不動川の河口付近。とくに東町や長者町などの町役場本庁舎以東で、国道1号より南側にある海抜の低い地域の範囲が広い。町は対象地域の住民を中心に説明会を計画していたが、緊急事態宣言の再発令を受けて保留した。担当の危機管理課は「年度内の指定にこだわらず、丁寧な住民説明を優先したい」と慎重な姿勢を示す。なお緊急事態宣言を受け、藤沢市も1月と2月に予定していた住民説明会を延期した。
二宮町は、他といささか事情が異なる。沿岸部のほとんどが海抜20m以上あることから、警戒区域として対策が必要になるのは梅沢海岸周辺と中村川の河口付近のみ。同河口付近については、飛び地が入りまじる小田原市と合同で津波避難訓練を行っていることから、足並みを揃えるためなるべく早期に指定を受けたい事情もあった。県と町で地区代表者への説明を行った後、昨年12月25日に対象地区の400組に回覧を回して指定にむけた取り組みについて説明した。担当の防災安全課は「コロナ禍でもしっかりと必要な周知を行いたかった」と話す。
指定後は各市町とも、基準水位などの最新の情報を反映してハザードマップを改定する方針。
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