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公開日:2021.08.20
睦まじき日々 句集に
二宮町の横山さん夫妻
二宮町百合が丘に住む横山信義さん(81)と横山トヨミさん(83)が、『句集 万緑』を出した。吾妻山をはじめ身近な自然や富士山の風景、祭事、旬の味覚、愛犬との日常生活での一場面などを詠んだ五・七・五。四季ごとに50句ずつ、夫婦合わせて400句を収めた。
夫妻は33年前に同町へ移り住んだ。2011年に開かれた「にのみや町民大学」の俳句講座を信義さんが受講。終了後、受講者たちで同好会「与志の会」を結成した。仕事をリタイアした妻のトヨミさんも1年あとから入会。講師を務めた俳人の二宮与志男(義雄)さんがボランティアで指導を引き受け、月に一度の句会や、大磯城山公園や曽我梅林などへの吟行を続けてきた。
本格的に俳句づくりを始めて10年。「私と妻の生活の足跡が俳句となって詰まっている句集を作りたい」。信義さんの強い願いから、句集はできた。出歩くのが難しくなったことなどが理由にあった。トヨミさんも「句集を出すことなど頭になかったけれど、元気でいるうちに作ろうと思った」という。
段ボール箱いっぱいの大学ノートに記した俳句から選句する作業には一苦労。二宮さんから俳句の並べ方など句集の作り方についてアドバイスをもらった。句会や吟行で披講し、添削を受けたり、仲間に意見を聞いたりして推敲した俳句や、神奈川新聞俳壇で入選した句も本に掲載した。
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ロープ引き犬に踏ませぬ菫草
(義信さんの句)
もう土筆とたんに足の軽さかな
(トヨミさんの句)
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表紙絵には題名の「万緑」にふさわしいと、ボタニカルアートを趣味にしているトヨミさんが描いたアオキの絵を用いた。句集は私家版(蒼天社発行)として作り、親類や句友などに配った。
これまでの自身の俳句について「理屈っぽくなることが多かった」と振り返る信義さん。「可能な限り俳句をつくりたい。風景や事物をよく見て、呼び起こされる感動や感銘を表現できる句をつくれるようになりたい」と向上心は尽きない。トヨミさんは「自然豊かな二宮町に住んでよかった。二宮先生やみなさんとのご縁に恵まれて俳句を楽しみ、句集を作ることもできた」と笑顔を見せる。
「与志の会が目指すのは、自分にしかできない俳句をつくること。横山さんは一生懸命に俳句をつくってきた」と二宮さん。「吟行句は同じ景色を見ても人それぞれ感じ方が異なり、人生で積み上げてきたものが表れる。私にとっても勉強になっている」と話した。
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