自家消費用などの少量生産を除けば本格的な茶畑のない大磯で、高野幸代さん(46)=人物風土記で紹介=・裕一さん(39)夫婦が茶の栽培に挑戦している。昨年3月に植えた最初の苗が今年4月には高さ20cmほどに成長、収穫は5年後を見込んでいる。
札幌で紅茶専門店を営んでいた幸代さんと、農大を卒業後に会社員と兼業で茶栽培に携わってきた平塚出身の裕一さん。結婚を機に大磯へ移り住んだ2人は、年々地元への愛着が高まるにつれて「大磯産のお茶を育ててみたい」と思うようになったという。茶葉が育つチャノキは塩害や台風に弱いため海が近い大磯は栽培に適した風土ではなかったが、適度な風があり新茶に大きな被害を与える遅霜が降りにくいなどの利点もあることから「やってみなければわからない」と一念発起。町農業委員会の紹介で町内に畑を借りて、茶の栽培を始めた。
お茶文化の普及も
お茶は茶葉をどのように製茶するかによって緑茶、紅茶、烏龍茶などに分かれる。高野夫妻が大磯町西小磯の約1反の畑で育てているのは紅茶・烏龍茶用の品種。裕一さんが15年近く管理している南足柄市の茶畑では緑茶用の品種を育てているが、こちらもニーズの高まりに合わせて現在はほとんどを紅茶に製茶しているという。幸代さんが運営するネットショップ「お茶の店ニルマーネル」で、自園の一番茶を使った和紅茶『すずか』や『はなゆらか』を販売。また大磯の柑橘農家と連携し、スリランカの紅茶に大磯産の柑橘の皮をブレンドした『大磯ポメロ紅茶』も開発している。今年3月からは大磯市(いち)にもブースに間借りする形で出店し、鴫立庵でお茶の講座やお茶を通じた交流会を開催するなど普及活動にも積極的に取り組んでいる幸代さんは「いずれは大磯に茶摘みや製茶体験から試飲までできる場を作りたい。おいしいお茶を作って、みなさんに大磯のお茶を楽しんでもらえれば」と今後の思いを語った。
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