大磯・二宮・中井 文化
公開日:2023.06.30
中井町地名パズル
難易度「高」の理由に飛び地
江戸時代の記録にヒント?
中井町立井ノ口公民館に町内の地名パズルと自治会パズルが設置されている。地図パズル作家の小栗信太郎さんの作品で、町民から寄贈されたもの。
自治会パズルに比べると、地名パズルはピースが細かく入り組んでいて、難易度が高くなっている。その理由が田中、遠藤、久所、北田などが複雑に入り組んだ「飛び地」だ。同町の文化財保護委員を長く務めた石黒弘さん(90)は、「昔からここに暮らす人にとって飛び地は当たり前で、資料も残っておらず、推測に留まる」と前置きをしつつ、江戸時代の天保年間(1841年頃)に編纂された『新編相模風土記』の記述にヒントがあるのではと推察する。
新編相模風土記の遠藤村、北田村、久所村の記述によると、各村の「見取畑」が田中村の中に5段2歩ずつあったという。この「見取畑」は荒れ地のため収穫が見込めない土地とされ、村で共同管理する「入会地」として馬の餌用の草などを栽培していたという。他の史料に各村に与えられた「見取畑」が、「陸田として開墾された」という記述もあることから、長い年月の中で畑として開墾され、個人の所有となったと考えられる。
「昔は運搬も人力だったため、より畑にアクセスのいい場所に移り住むなど、人の移動が生じたのでは」と石黒さん。「地域への愛着から、もといた場所の地名を名乗ったのが飛び地の理由かも」と話していた。
地名パズル、自治会パズルは小栗さんのホームページで購入可能。
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