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もうひとつの東京オリンピック 風祭から出たメダリスト

スポーツ

公開:2014年11月8日

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風祭の箱根病院。手前の三角屋根が、当時使用されていた療養所の建物
風祭の箱根病院。手前の三角屋根が、当時使用されていた療養所の建物

 東京でアジア初のオリンピックが閉幕して2週間後の1964(昭和39)年11月8日、東京パラリンピックが開幕した。日本は金メダル1個を含む10個のメダルを獲得したが、そのうち7個が市内風祭の箱根療養所の「選手」たちだった。東京パラリンピックからちょうど50年。当時の様子を紹介する。

 箱根療養所(現在の独立行政法人国立病院機構箱根病院)は1936(昭和11)年、戦争で脊髄を損傷し、下半身不随となった戦傷病者の療養所として小田原市風祭に建てられた。療養所には多い時で100人以上が入所していたという。

 パラリンピックは、もともとイギリスで脊髄損傷のため車椅子生活を余儀なくされた兵士の治療の一環として、スポーツを取り入れたことが発端とされている。63年に東京パラリンピックの開催が正式に決まると、都道府県などから推薦を受けた53人が日本代表に決定。そのうち19人が箱根療養所の「選手」だった。

好成績に驚き皇太子も来訪

 大会は陸上、水泳、アーチェリーなど9競技で行われ、19カ国から238人の選手が参加した。箱根療養所の選手たちは、アーチェリーや卓球、フェンシングなど車椅子で行う競技の他、水泳などに出場した。

 選手宣誓を行い、水泳とフェンシングでそれぞれ銀メダルを獲得した青野繁夫さんは、パラリンピックが「自分自身の忘れられた可能性を一つためして見ようなんて了見にもなって、柄にもなく希望を持った」と大会後の報告書で述べている。療養所での単調な生活の中、大会が大きな存在だったことがうかがえる。

 大会は11月12日までの5日間行われた。パラリンピック初参加の日本は、卓球ダブルスで猪狩靖典・渡部藤男組が金メダルを獲得したほか、銀メダル5つ、銅メダル4つを獲得する健闘を見せた。このうち箱根療養所の選手たちは銀メダル4つ、銅メダル3つを獲得したほか、多くの選手が上位に入賞。大会の名誉総裁として期間中、選手たちを激励し続けた皇太子殿下・美智子妃殿下(現天皇・皇后両陛下)は、彼らの活躍に興味を持ち、翌年1月に箱根療養所を訪問。施設を見学すると共に「選手たち」と再会を果たしている。

 なお箱根療養所からパラリンピックに出場した選手と競技、結果は以下の通り(敬称略)。

◇ダーチェリー(※アーチェリーに似た競技。現在は行われていない)/3位(松本毅・安藤徳次組)

◇洋弓(アーチェリー)/フィーター個人5位 安藤昇一、同団体2位(安藤昇一・斉藤定一・松本毅組)/アルビオン個人5位・松本毅、同団体2位(安藤昇一・松本毅・安藤徳次組)/コロンビア団体3位(林鉄雄・富田幹男・原田道夫組)

◇卓球/男子シングル3位大塚一成、女子ダブルス3位(井上千代乃・小笠原文代組)

◇重量挙げ/6位・米山喜代寿

◇フェンシング(サーブル)/団体2位(斉藤定一・青野繁夫・原沢茂夫組)

◇水泳/背泳50m2位・青野繁夫/同B級25m4位・原田道夫/自由形50m4位・青野繁夫/同C級50m4位・原沢茂夫/同D級50m6位・広田武夫/平泳D級4位・磯崎吉蔵、5位・丸尾正宗、6位・米山喜代寿

取材協力/しょうけい館(戦傷病者資料館)、広報おだわら、箱根病院
 

(写真右)青野選手の宣誓文を刻印した竹細工(写真左)皇太子殿下ご夫妻から激励を受ける青野選手(※写真はしょうけい館企画展「療養所の戦後」パンフレットから転載)
(写真右)青野選手の宣誓文を刻印した竹細工(写真左)皇太子殿下ご夫妻から激励を受ける青野選手(※写真はしょうけい館企画展「療養所の戦後」パンフレットから転載)

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