昭和から平成にかけて俳壇を牽引した小田原市出身の俳人、故・藤田湘子(しょうし)の遺族から4月8日、直筆資料や掛軸など91点が市に寄贈された。
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寄贈に際し、庁舎を訪れた湘子の次女・かをりさん(横浜市在住)は、加藤憲一市長に湘子の作品づくりに対する思いなどを説明した。湘子が16歳まで過ごした小田原について、かをりさんは「小田原にはお弟子さんも多く、幼い頃には父に連れられ、親戚を訪ねては御幸の浜で遊ぶのが私の楽しみだった。きっと父も喜んでくれる」と寄贈の経緯について話した。
1日10句の俳句を詠んでいたというエピソードについて加藤市長が言及すると、かをりさんは「起きてから寝るまでに毎日10句以上を詠んでいた時期があった。良い句が生まれる時もあれば、そうでない時もあり、本人も大変だったが支える家族も大変だった」と身内ならではの裏話も披露した。
加藤市長は「小田原は俳句人口も多く、本市の文化振興に役立てていきたい」と貴重な資料の寄贈に対し謝辞を述べた。
資料通じ、生涯たどる 文学館で特別展開催中
藤田湘子は、1926年に小田原市本町で生まれ、17歳で俳誌「馬酔木(あしび)」に入会、近代俳句に外光性をもたらした水原秋櫻子(しゅうおうし)に師事した。その後、俳句団体「鷹」の主宰として多くの弟子を育てた。句集に『途上』『一個』『黒』などがある。
湘子の句碑がある小田原文学館(南町)では5月10日(日)まで、特別展「没後10年記念 藤田湘子と近代俳句」を開催している。時間は午前9時から午後5時(入館は4時30分)まで。入館料は大人250円、小・中学生100円(団体・障害者手帳を持っている人は割引あり)。
特別展では今回寄贈された藤田湘子の資料をはじめ、正岡子規、高浜虚子、水原秋櫻子ら近代俳句の資料が展示されている。また、湘子の生涯や功績を時系列でたどることができる。
問合せは同館【電話】0465・22・9881。
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