小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2016.04.09
小田原市立病院の病院長に就任した
川口 竹男さん
横浜市在住 59歳
未知への開拓者
○…「医師や看護師の数、高度化に伴い大きくなる医療機器など、30年前と比べ市立病院を取り巻く環境はガラッと変わった。これまで増築・改築を繰り返してきたがそろそろ限界」と、建替えの必要性を強く訴える。「65の定年までに新たな市立病院の道筋だけでも示していきたい」。だからこそ、病院長となった今、自身で掲げた目標は「努力」の2文字だ。
○…『鉄腕アトム』『鉄人28号』を観て育った世代。子どもの頃に興味を持ったのは、ロボット工学の世界だった。「とにかくやんちゃだった」と照れ笑いを浮かべ当時を振り返る。中学では卓球、高校ではサッカーとその溢れるパワーをスポーツにぶつけた。そんなある日、プレー中に感じた横腹の痛み。検査のため総合病院に入院したがその原因はわからぬまま、時とともに痛みは消えた。「どうして原因がわからないのか、なぜ痛みが消えたのか。わからないことがある世界なら自分で解明したい」。この体験が医療へと進むきっかけとなった。
○…群馬県前橋市出身。高校は親元を離れ千葉県へ。その後、北里大学進学とともに神奈川県に居を移す。医師となってからも多々の医局を回り、研究のためアメリカのカリフォルニア大学にも約2年間留学。帰国後、市立病院に勤めて四半世紀になる。「気が付けば小田原での生活が一番長い。転々としてきた私にとっての故郷は小田原かな」とはにかんだ。
○…循環器の専門医として、患者と向き合う日々。治療が長期化するものや生死に直結する疾患も多く、平日は夜間の緊急呼び出しにも備え、横浜に家族を残し小田原にとどまる。「深夜叩き起こされても、患者さんが無事に社会復帰してくれれば医師冥利に尽きる」。週末には妻や中学生と高校生の子どもが待つ家族の元へ。「今は家族との団らんが何よりの息抜き」そう話した一瞬、優しい父親の顔をのぞかせた。
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