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開館30周年を迎える神奈川県立生命の星・地球博物館の館長を務める 田中 徳久さん 小田原市入生田在勤 58歳

公開:2024年9月14日

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田中 徳久さん

植物を調べ伝える

 ○…自然史部門の県立博物館として、横浜市の県立博物館から小田原市入生田に移転し1995年に開館した「生命の星・地球博物館」。開館当初から植物分野の学芸員として、県内の植物調査に尽力。昨年6月館長に就任した。約120万点の所蔵資料を誇る博物館は来年3月で開館30年。デジタル化などめまぐるしく変わる博物館の環境に「実物資料の展示は大切にしていきたい」と思いを語る。

 ○…横浜市南区出身。高校時代、希望した天文部がなく、人数が少なかった生物部の植物班に入る。週1回の観察会で植物の撮影や採取をしているうちに、「場所によって植物が違う。種類の多さにだんだん興味が湧いてきた」。大学では植物を専門とする教授のもとで研究し、八ヶ岳や北海道への調査に同行したことも。大学院まで進学し、卒業後は厚木市の青年の家で指導員として勤めたが、植物への思いは消えなかった。「これだけ勉強すると面白くなっちゃって」。その後資格を取得し、28歳で県立博物館の学芸員に採用された。

 ○…「趣味のような仕事だから」。出かけた先でも目線は常に植物へ、観察には写真撮影を忘れない。休日は自宅でビールを嗜みながら、撮りためた写真の整理。「たまに幼い頃の娘の写真が交ざっていて、懐かしいな」と、ふと出会う当時の思い出に目を細める。

 ○…丹沢や箱根など豊かな自然が特徴の神奈川県。県内に自生する植物や標本をまとめた『神奈川県植物誌』の編さんに長年携わる。近年ニホンジカの増加により、丹沢や箱根では生態系に深刻な影響が。「植物は逃げられない。環境を取り巻く問題も展示を通して伝えられたら」。熱い使命を語りながらも、植物を見守る眼差しは温かい。

まっとうな政治を今こそ!佐々木ナオミ

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