松田町観光ボランティアの会代表の 籔田 開作さん 松田町松田惣領在住 73歳
地域に届ける暖かな眼差し
○…雲一つない晴天の中、満開に咲いた桜の下「足柄平野や富士山はもちろんですが、今日は大島から新島まではっきり眺められますよ」。春の訪れを告げる「まつだ桜まつり」の際、西平畑公園で赤いジャンパーを身に、観光ボランティアを続けて今年で11年目。「近年は会員も減りました。来年から一緒に案内して下さる仲間を募集しています」と微笑む。
○…山北町谷峨で生まれ育った。実家は稲作と茶の農家。当時通っていた清水小、中学校はともに閉校になり「閉校式には両方行きましたよ。やっぱり寂しいけれど、その機会に仲間と一泊で計画した同窓会もできましたよ」と今も地域への愛は変わらず。あしがら農業協同組合(現・JAかながわ西湘)に就職すると地元の地域を担当。1市5町の各支店を巡ると地域への想いは次第に強くなった。出身地ということもあり三保支店を任されたこともある。「三保ダムの建設前に着任して、それに伴う関連事業にも携わりましたよ」。
○…ボランティア活動の合間を縫い、歴史書籍を読みながら一息つく。庭先に目を向ければ盆栽が並び、4月になればざる菊の手入れを始める。「花々を通じても地域貢献していきたい」という想いから地元の寒田神社に毎年60鉢ほどのざる菊を奉納している。
○…「山北の大野山からの景色も絶景。6月には開成で紫陽花が見頃を迎えます。ここからも少し見える小田原城にも寄って帰ってください」と来場する観光客やハイカーには必ず案内をする。「この場所に来てもらったことをきっかけに、また足柄上地域を訪れてほしいから」。まつだ桜まつりは終わっても地域への暖かい眼差しはここからさらに多方面へと向けていく。