パステル画と詩で自然の姿を表現する 湯川 仁士(まさし)さん 山北町在住 68歳
思いを詩に、絵に、歌に
○…優しい色合いが特徴の「パステル画」に、自ら創作した「詩」を添えて表現する丹沢地域のブナ林。6月からは神奈川県自然環境保全センター(厚木市)で作品展を開く。「ブナは水と緑が作り出す天然芸術生命体。水源の母、緑のダムとも呼ばれるその素晴らしさを広く伝えることができれば」とにこやか。
○…ブナの立ち枯れが騒がれた30年ほど前、「自分も何かできないか」と丹沢地域を訪れ、一瞬で魅了された。それがパステル画を始めるきっかけ。2019年に発生した台風19号で沢が崩壊するなど被災した様子に「豪雨といった近年の自然災害には、恐怖だけでなく人類への危機のようなものを感じる」と話す。ますます人間と自然の調和の重要性を感じ、ブナが人類への新しい生き方を示す道標として、多くの人に実態を知ってもらえればと開催を決めた。
○…静岡県出身。幼少期から野山を駆け回るなどして体が鍛えられた。中学校のマラソン大会では3年連続で1位となるなど「体力には自信がありましたね」と振り返る。同じ頃に詩の面白さに目覚めた。最初はノートに書き留める程度だったが、次第に頭の中に次々とイメージがわくようになり、19歳で「潮流詩派」の詩誌に作品を掲載。その後も詩集を発刊するなど、今もその腕を磨き続ける。
○…自然への思いは絵や詩にとどまらず、昨年からは新たな表現法として「独唱」にも力を入れ始めた。「自然の中で歌うと、自分も自然の一部って感じるんです。いつか自らの詩も交え人前で発表したいですね」と思いは膨らむばかりだ。詩に絵に歌に―。自然への思いを形にするアーティストとしての活動意欲にまだまだ衰えはみえない。