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足柄 人物風土記

公開日:2025.10.25

南足柄ジオガイドの会の会長を務める
植田 勇次さん
南足柄市矢倉沢在住 81歳

役に立つ喜び、いつまでも

 ○…山や川、岩などの地形から、地域と地球の成り立ちを学ぶことができるまとまったエリアを「ジオパーク」と呼ぶ。日本各地域にあるが、南足柄市は2市3町で構成される「箱根ジオパーク」に入っている。自身は10年ほど前に設立された「南足柄ジオガイドの会」の初期メンバーで当時から会長を務めている。活動は足柄峠や足柄道、矢倉岳など市内8カ所の見どころとなる場所を歴史とともに案内すること。昨年は15人の新たな仲間が加わった。「意欲のある人が多くてうれしい」とにこやか。

 ○…南足柄に根を下ろしたのは28歳の時。勤務していた川崎市の機械製造会社が山北町に移転したことで矢倉沢に移り住んだ。定年を前に、「これからの人生は人の役に立つことをやろう」と決断。退職後は社協のボランティアや、自治会活動で矢倉沢地区の活性化にも取り組んだ。「関わった人の喜んでいる顔を見るのが好き。役に立てているなと実感しますね」と語る横顔は照れくさそうでもある。

 ○…企業や自治会などからのガイド依頼が主だが、より一層関心を高めてもらおうと、依頼を待つのではなく「こちらから伝えること」へと方針転換。3年前から幼稚園や小学校の出前講座も始めている。子どもを対象に「ジオパークとは」といった基本から伝えているが、参加者には、親子連れも多く「子どもが関心を持てば、保護者も一緒に知ってくれる」と期待を込める。

 ○…長年の趣味は読書で、いまも年70冊以上のペース。読み終えると、作品評価や感想をメモに残し、振り返るのが楽しみだ。最近は定年後の自分を見つめ直す時間が増え、「いろいろやってきたな。自己採点は90点をあげたいね」と満足そうに目を細めた。

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