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秦野 人物風土記

公開日:2016.02.20

第48回神奈川県茶園共進会で農林水産大臣賞を受賞した
山口 勇さん
菩提在住 58歳

穏やかさの中に 熱い思い

 ○…「茶の基本は茶園づくりです」。丹沢山麓に広がる広大な茶畑の、隅々まで気を配る。土づくりや気象に合わせた管理などきめ細やかな日々の取り組みにより、県内の最も優れた茶園に選ばれた。自家自製の同園のお茶は、深く蒸さない優しい香りが特徴の、昔ながらの「山のお茶」。積雪や霜害など天候の厳しさを感じることもあるが、「自然の恩恵に感謝しながら、1日でも長く続けていきたいです」と、穏やかな口調の中にも力がこもる。

 ○…茶園の辺りは湧水が豊富な場所で、明治中頃から先祖がわさび栽培を行っていたという。「よく仲買人が来ていました」と幼少期に思いを馳せる。祖父と父親が昭和30年頃に茶栽培を始めた後も、現在まで変わらずわさびは作り続けている。当時の茶園の名前は「丸山茶園」。就農した20歳の時、客から呼ばれていた「わさびや」を屋号につけた。現在も春になれば直売所に出荷しており、「屋号にしているからには、わさびにも力を入れたいですね」と話した。

 ○…60年近く家族で続けてきた、お茶づくり。幼い頃から両親たちの姿を見て、自然と茶の世界へ入っていった。「毎年管理をしていても出来は違う。若い頃はどんな新茶ができるかと、いつもわくわくしていました」と振り返る。3年前に長女が結婚。保育士をしていた娘婿は結婚を機に茶の勉強をし、昨年就農した。現在は両親と自身夫婦、そして娘夫婦の3世代で茶園を家族経営している。後継者に悩む農家も多い近年。「3夫婦揃って茶に携わることができて、大変嬉しいです」と笑顔がこぼれた。

 ○…「心優しい人」と評する娘婿に、「色々吸収し、一つひとつじっくり構えて進んでいって欲しい」とエールを送る。土づくりから商品開発まで、こだわりを持って続けてきたお茶づくり。「茶への思いを貫くことで、良いお茶を生み出せる。この思いを、後継者に繋げていけたら」と微笑んだ。

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