集落の境界で悪霊や疾病を防ぐ神、また道中安全や子孫繁栄の神として祀られてきた道祖神。秦野市寺山在住の武勝美さん(79)が6月1日に出版した著書『Katsumi In 道祖神ワンダーワールド』(制作・発行 夢工房)には、全国550超の道祖神とそれにまつわる風習や人々の記憶が紹介されている。
「道祖神発祥の地が秦野だと思える資料があるから面白い」。秦野は300以上の道祖神が現存する全国有数の「道祖神の宝庫」。市内に現存するものの6割は、僧侶が死者を冥土へ連れて行く姿を象った双体像で、道祖神信仰の源流に近いものとも考えられるという。また、戸川の僧形合掌型は県内最古といわれる。
教職を退いた後、地元の子どもたちに地域の文化財について話をする中で「道祖神が気になりだした」という武さん。調査は地元の寺山から始まり長野県や群馬県等60市町村に渡った。
同書では旅日記さながらに、2005年から今年3月までの「里めぐり」の成果を収録。秋田県大仙市のワラ製人形道祖神や、寄り添う男女の神を象った長野県安曇野市の彩色道祖神など一風変わったものも多数紹介している。武さんは「道祖神は歴史と民俗の語り部。この本を通じて秦野の道祖神の良さもPRできれば」と話す。
同書は市内の書店で販売中。定価2000円税別。
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