蓑毛山宝蓮寺(東島(ひがしじま)礼美(れいみ)住職)が管理する蓑毛大日堂の市指定重要文化財「木造二王立像」が5月22日から23日にかけ、修復のため搬出された=写真。当日は東島住職をはじめ、大日堂の維持・保全活動を行う「NPO法人はだの大日堂保存会」(水野功理事長)の会員や見学に訪れた市民らが作業を見守った。また、高橋昌和市長も視察に訪れた。
今回修復を行う二王像は、平安時代末期(12世紀)に制作されたもの。大日堂の文化財はどれも修復が喫緊の課題となっているが、特に風雨にさらされ下半身の痛みが激しい二王像は「これ以上放置すると修復自体が困難になる可能性がある」と診断されていた。
そこで同会では、最も緊急性が高かった二王像の修復を計画。寄付に加え、秦野市指定文化財保存事業費補助金と、公益財団法人朝日新聞文化財団の文化財保護活動への助成も活用。修復の目途が立ったとして、作業開始の運びとなった。
返還は4年後
搬出作業の準備としてまず、像が収められている仁王門の囲いを撤去。仁王門は国登録有形文化財となるため、解体は伊勢原市の宮大工・内田工務店が担当した。また、搬出作業は日本通運株式会社の美術梱包担当が行い、二王像の周りに鉄パイプを組み保護材を巻き付けたあと鎖で釣り上げ慎重に運び出した。
二王像は仏像修復士・明珍素也氏の株式会社明古堂(東京都世田谷区)に送られ、4年計画で修復される。「修復の様子は見せてもらえるそうなので、会員で見学に行った際には状況の報告ができれば」と同会では話している。
損傷激しく修復急務
蓑毛大日堂は、国登録有形文化財をはじめ、県や市指定の重要文化財など数多くの建物や仏像群を所有している。その多くが損傷が激しく、宮大工や学芸員、仏像修復士の調査では1つの文化財に数千万円、全ての修復には億単位の費用が必要という概算が出ていた。
同会によると「秦野の文化のために」と個人から大きな寄付があったのをきっかけに、修復への取り組みが加速していったという。今回の修復には運搬含め約3700万円の費用がかかる。
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