宮城・女川でコンテナを利用したカフェ設立・運営のアドバイスを行う 伊藤 登志子さん ふれあいショップサニー店長 66歳
元気のもとは「人」
○…東日本大震災の津波により建物の7割に被害が出た宮城・女川町で10月初旬、コミュニティカフェ設立・運営のアドバイスをしてきた。地元の30〜70歳代女性6名が中心となり、将来的に健常者と障害者がともに働くカフェの設立を目指すも、経営実績はなく、町の支援も期待できず、あるのは貨物列車のようなコンテナ1つ。「ノウハウを知りたい」と招かれたが、水道やガスもない状態では本格的なカフェ設立はまだ無理と判断。地元住民が集まれる場所づくりを優先し、手づくり暖簾を入口に作り、みんなで持ち寄った食事をインスタントコーヒーで楽しむことを提案した。「そこまでしか言えなかった」とため息交じりに話す。
○…震災後に訪問した石巻では、授産施設にあった津波で流されなかった、ひじきやわかめなどの海産物をスーパー等で開催している町村おこしイベントに出店すべきとアドバイス。現地の人のモチベーションが徐々に下がっていくのを目の当たりにし、「できることからやろう」とその方法を模索する。少しでもお金になればと金華さばの缶詰30個などを持ち帰ったところ、泉区カラオケ協会の相原孝司会長が売ってくれた。「もっとほしい」と言っていたことを石巻の人に伝えると涙ぐんだという。
○…平塚の金物卸「中屋」で育った4人兄弟の末っ子で、結婚を機に港南区へ。泉区総合庁舎1階の健常者と知的障害者がともに働く喫茶店、ふれあいショップサニー(センター事業団)で店長を務め15年経つが、今の仕事が「私の仕事の集大成」という。障害者も接客や発注、弁当売り、簡単な計算をこなしており、これまでに数人が巣立ち、白血病の症状が改善された子もいる。座右の銘は「我も良し、人も良し」。いつも明るく元気な秘訣は「人が大好き。どんな人も。それだけ」と答える。60で他界した夫に、たくさんの話ができるように人生を送りたい、これが根本にある。
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