10月15日に上映会を行う映画「ミツバチの羽音と地球の回転」を観る会の代表 常石登志子さん 飯島町在住 65歳
今だから感じることがある
○…チェルノブイリでは原発事故後、放射性物資の影響からか、多くの生き物が繁殖に失敗した。ミツバチの姿もなかった―。映画「ミツバチの羽音と地球の回転」の鎌仲ひとみ監督はメディアの取材にそう語り、同映画で自然エネルギーへの転換に取り組む人々を追って、その可能性を伝えている。鎌倉での上映会でこの映画を観たのは昨年。「こんな場所があるんだと、ただただ驚いた」と話す。「深い意味があった」と感じたのは福島原発の事故後。多くの人に知ってもらいたいと、9人の仲間とともに同会を立ち上げ、栄区内での自主上映会開催を決めた。
○…広島県出身。広島に原爆が落とされた直後、身重な母は、爆心地に赴いていた父を3日間探して歩いた。その際に浴びた残留放射能により、母と胎内にいた自身は「二次被ばく者」の認定を受けた。「核廃絶の声が大きい環境で育ったのに、原発を廃絶しようとは考えたことがなかった」。同会の代表を引き受けたのはこうした理由からだ。
○…5月に発足し、同会立ち上げのきっかけにもなった「さかえ脱原発の会」にも所属。本を読み、専門家の講演をきいて原発や放射性物質に関する勉強を重ね、仲間と情報を交換する。「知らないで『反対』とは言えない。難しい専門用語も覚えた」と微笑む。今月、東京で開かれた「さよなら原発5万人集会」にも参加。原発事故後、頻繁に連絡を取るようになった91歳の母も「いってらっしゃいと後押ししてくれた」と母の思いも一緒に現地へ運んだ。
○…脱原発についてのチラシを配っていた時「頑張って」と声をかけられた。「あなたが頑張って」現状を変えるには多くの人の意識が変わらなければならない。「映画を観て何かを感じてもらえれば」。10月22日には自然エネルギーについて意見を交わす、トーク会も予定する。「話したくてもその場がない人も多い。話してもらいたい」将来を考え、地域から声をあげる。