ジブリ最新作『コクリコ坂から』 観光振興にも大きな期待 16日に全国で公開
横浜を舞台としたスタジオジブリの最新作『コクリコ坂から』が7月16日(土)、全国で公開される。7月4日にはホテルニューグランドで完成披露会見が行われた。公開に合わせ市内では官民による様々なキャンペーンが各所で展開されるなど、観光振興への期待も高まっている。
山下公園、桜木町駅も登場
完成披露会見には、宮崎吾朗監督をはじめ鈴木敏夫プロデューサー、主人公の声を務めた長澤まさみさん、岡田准一さんが出席。今回が2作目となる宮崎監督は「多くの運と縁に助けられて作品を完成させることができた。世代によっても感じるものは違うと思うので主人公と同じ高校生はもちろん、多くの方に見てもらえれば」と話した。
『コクリコ坂から』は、東京オリンピックを翌年に控えた横浜を舞台に、松崎海と風間俊という二人の高校生とその両親二世代にわたる青春を描く。劇中ホテルニューグランドや山下公園、桜木町駅など、横浜の風景も数多く登場する。
原作は1980年に発表された同名の漫画だが、舞台は坂のある海辺の街としか描かれていない。それが映画化にあたって横浜に設定された理由について宮崎監督は「父(宮崎駿氏)からシナリオが手渡された時点で、横浜となっていたが理由は何度尋ねても教えてはくれなかった。父にも横浜に青春の思い出があるのでは」。また鈴木プロデューサーは「戦後、古いものを壊して新しいものを作り上げて来た東京と違い、横浜には古い建物が多く残っている。そのことが作品にも説得力を与えていると思う」と話した。
官民あげてプロモーション
作品をきっかけとした、観光振興やシティプロモーションへの期待も高い。
完成披露会見の同日、県民ホールで横浜市民を招いた試写会が開催されたが、これらは横浜市による誘致が成功したもの。8日には作品の主人公たちと同じ、横浜の高校生200人を招いた試写会が神奈川近代文学館で実施され、宮崎監督、(株)ドワンゴ会長で現在、ジブリでプロデューサー見習いをする川上量生さんと高校生とのトークイベントも行われた。
また市とKDDIは、16日の公開に合わせ作品に登場するUW旗を象の鼻地区や港の見える丘公園などに掲出し、「コクリコ坂からのまち」というイメージの定着を狙うほか、映画のストーリーや横浜の情報を盛り込んだガイドマップを制作。スタンプラリーの冊子として活用してもらい周遊を促すなど、官民一体となって様々なイベントやキャンペーンが展開される予定だ。
宮崎監督「まっすぐに生きる姿見て」
本紙では7月8日、宮崎吾朗監督、ドワンゴ会長の川上量生さんへのインタビューを行った。
―作品を作る前と後で横浜の印象は変わりましたか。
宮崎 以前は「デートで来る場所」という程度の印象でしたが、作品を作るために歴史を学ぶうち、戦後米軍が上陸した場所だということ、その後の接収の時代など横浜の新しい一面が見えました。それに横浜の人は郷土愛が強い。スタッフにも横浜の人間がいたのですが「ここからこの塔は見えない」などこだわりが強くて苦労しました(笑)。
―作品を見た感想は。
川上 試作から何度も見て実は「この映画じゃ泣けない」と思っていたんです。でも完成に近づいた時、不意に涙が出て。作品に命が宿った瞬間だと思いました。
―作品に込めた思いを教えて下さい。
宮崎 劇中で坂本九さんの『上を向いて歩こう』が流れますが、これは涙がこぼれないように上を向くのであって、「上を向いてがんばろう」という歌じゃないんです。結果的に大震災を経験した日本にあったメッセージになったと思います。まっすぐに生きる主人公たちの姿を見て元気付けられる人がいたらうれしいですね。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|