2017年は現在の中区と南区にまたがる「吉田新田」が1667(寛文7)年に完成してから350周年を迎える。節目の年を盛り上げようと、新田地域内の商店街、まちづくり団体関係者らが記念企画の実行委員会を立ち上げて準備を進めている。
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吉田新田は大岡川河口部の入海を江戸の材木商、吉田勘兵衛らが干拓したもの。1656年に工事が始まったが、2年後に大雨で潮除堤が崩壊するなど、難工事となり、開始から11年後の1667年に完成した。後に新田の沖合が埋め立てられ、開港場となるなど、横浜の発展につながる基礎となった。
中・南区の商店街参画
新田完成350年を契機に地域内を盛り上げようと、昨年11月に「YS350(横浜吉田新田350周年記念プロジェクト)実行委員会」が設立された。伊勢佐木町、野毛、馬車道、横浜橋などの商店街やまちづくり団体が参加する「関内・関外地区活性化協議会」のメンバーを中心に25人の委員で構成される。委員長には横浜橋通商店街副理事長の高橋一成氏、副委員長に野毛地区街づくり会会長の平出揚治氏と吉田町名店街の荒井浩氏が就いた。
エピソードを紹介
同委員会は「伝承」「再発見」「共感」をキーワードに新田に関するエピソードを展示を通して紹介するほか、9月の日枝神社例大祭を市内外にPRしていく。また、4月の野毛大道芸など、既存のイベントと連動した盛り上げ企画も予定している。5月の「ザよこはまパレード(国際仮装行列)」への参加を予定し、350年前から現代までの物語をテーマにしたパレード隊を結成する。
「おさん伝説」が舞台に
新田干拓が難工事だったために生まれたとされる「おさんの人柱伝説」を題材にしたミュージカル「おさん伝説」が1月29日、関内ホールで開かれる。
横浜市民ミュージカル公演実行委員会らの主催。昨年1月に続く再演で、現代に暮らす「おさん」の生まれ変わりの「さなえ」を主人公に過去と現在をつなぎ、時代を超えて人柱のしょく罪を果たす「ちょっぴり切ない愛と許しの物語」となっている。内容は前回同様だが、原案を手がけた赤い靴文化事業団の松永春団長は「クオリティーをさらに高める」と意気込む。
稽古は昨年9月から行われている。公演には5歳から80歳までの市民団員が出演予定。脚本・振付・演出を担当する福島桂子さんは「脚本がまとまりストーリーがつながった」と話す。主人公の「さなえ」を演じるおかのたかよさん=中区元町=は「2年続けての同じ舞台は初めて。しっかりと準備していきたい」と意識を高めていた。
公演は午前11時と午後4時の2回。一般2200円、高校生以下1200円。全席自由。問い合わせは同ミュージカル事務局【電話】045・641・3066。
「観光資源の活用を」
YS350実行委員長に聞く
記念企画を行う「YS350実行委員会」の高橋一成委員長に意気込みなどを聞いた。
――吉田新田の地域の状況をどう見ているか。
「関内・関外の商店はしぼみつつある。市庁舎が移転すれば、さらに苦しくなるのではと考えている」
――実行委員会はどのように活動していきたいか。
「5月の国際仮装行列への参加などを通して全国に吉田新田のことをアピールしたい。6月に伊勢佐木町で開かれている神輿パレードに観光客を含む外国人が参加できる環境も整えたい。また、今年は中区制90周年、開港記念会館100周年、馬車道150周年なので、一緒に盛り上げたい」
――この地域の魅力は。
「三吉演芸場のように、今まであまり目が向けられていなかった観光資源が多くある。そういったものを活用していきたい」
――今後へ向けては。
「19年の横浜開港160周年、23年の日枝神社創建350周年に向けて、息の長い文化事業にしたい」
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